社会保険紀南病院(田辺市新庄町)で01年、心臓の手術を受け、3日後に死亡した串本町の男性(当時76歳)の遺族が、措置を誤ったのが死亡の原因として病院側に損害賠償を求めた訴訟の判決で、和歌山地裁田辺支部(矢田広高裁判長)は、病院側に2573万円の支払いを命じたことが分かった。病院側は控訴している。
男性は狭心症の持病があり、01年1月22日に入院、24日に冠動脈バイパス手術を受けた。25日、大量出血に伴う血圧低下がみられ、27日午後、心筋梗塞(こうそく)で死亡した。
遺族は手術時の止血措置などに過失があったとして、3668万円の賠償を求めて提訴。先月28日の判決で、矢田裁判長は「長時間に及ぶ圧迫止血による心臓への負担、手術中から認められた出血傾向、低血圧状態、貧血状態の持続が心機能の著しい低下を招いた」などとして、死亡との因果関係を認めた。
同病院の山本忠生院長は「手術は成功し止血も完全。大量出血は、不可抗力で予見は不可能だった」とコメントしている。【吉野茂毅】
毎日新聞 2008年4月25日 地方版