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「2ちゃんねる」発だったチベット弾圧反対のデモ隊

Esaman2008/04/22
中国によるチベット弾圧に反対する集会が、名古屋市の若宮大通り公園で行われました。集まっている人たちはかなり似たような年齢層、似たような格好にみえました。不思議に思い、聞いて見ると、参加のきっかけは「2ちゃんねる」や「mixi」のコミュニティでした。
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「2ちゃんねる」発だったチベット弾圧反対のデモ隊 | <center>若宮大通公園の東側、久屋大通り公園の南端でチベットの旗を掲げる人。
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若宮大通公園の東側、久屋大通り公園の南端でチベットの旗を掲げる人。
目次
P1.従来の市民運動とは空気が異なるデモ参加者
P2.名古屋で500人の動員はイラク反戦以来


従来の市民運動とは空気が異なるデモ参加者
 中国によるチベット弾圧に反対し、「チベットに自由を」求める集会が、名古屋市の若宮大通り公園で行われました。この日、集会とデモがあることは、筆者も知ってはいましたが、いったい誰が呼びかけていて、どこがやるのか? 名古屋で反戦運動や平和運動界隈にすこしかかわりのある人も、よくわからなかったようなので、顔を出してみました。まず、会場近くにいくと、チベットの大きな国旗をもった人が路上に立っていて、集会場所のほうを指差しています。その方角に向かっていくと、高速道路の高架下の公園に、かなりの数の人たちが集まっていました。

 集会に集まっていた人々は400人ほど。集まっている人たちは、みな一様にチベットの旗をもったり、プラカードをもったりしていました。主催者の挨拶があり、これから行なわれるデモの説明がありましたが「市民運動」の人たちとは、かなり違う印象を受けました。このデモに際して、ボランティア保険に入っているが、喧嘩や衝突などのトラブルなどが発生した場合は、保険の対象外になるとのことでした。デモにいくのにボランティア保険にはいるなんて初めてききましたが、入れるものなんだなぁと、へんなところに関心してしまいました。

 また、集まっている人たちが、かなり似たような年齢層、似たような格好にみえることが気になったので、何人かの人に聞いてみたところ、普段は平和運動や市民運動に参加したことがない人たちばかりでした。そして、このデモに参加することにしたきっかけは、「2ちゃんねる」や「mixi」のコミュニティで知った、という方が圧倒的に多かったのには驚きました。

「2ちゃんねる」発だったチベット弾圧反対のデモ隊 | <center>若宮大通公園の通路にて、チベットの旗を掲げて通行人にアピールする人たち。</center>
若宮大通公園の通路にて、チベットの旗を掲げて通行人にアピールする人たち。
 どうやら、参加者の人たちは、日常生活では、チベットのことや政治活動、市民活動に興味がない人がかなりの数に上るようでした。普段は街頭に出ることや市民活動はしないのに、なぜチベットの問題には関心があって出てくるのですか、との問いには、言葉が詰まる方も何人かおられました。

 何人かのひとは、やはりチベットが酷い状態であるとか、中国が悪い、ということを話してくれましたが、情報源は、「2ちゃんねる」だったり、TVなどの聖火をめぐる報道だったり、「mixi」やブログなどだったりするようでした。

 集まっている人たちは『雑多な感じ』というよりは、ある程度の年齢層や嗜好性がみられるように思いました。年代としては、自分の年代前後。年齢は高くて40歳代まで。インターネットを介して情報源にアクセスしている、というか、多くの場合はインターネットといっても新聞というよりは、「2ちゃんねる」「mixi」などで情報を得ている。既存の政治活動や市民活動には無関心。場合によっては嫌悪感がある人も。全体的に、生活時間の中で、インターネットがかなりのウェイトを占めている人たちが多いように思いました。皆が持っているチベットの旗などのプラカードは、インターネット上でダウンロードをしてきたものも多いそうです。

「2ちゃんねる」発だったチベット弾圧反対のデモ隊 | <center>デモ隊の先頭部分。チベットの旗が目立つ。</center>
デモ隊の先頭部分。チベットの旗が目立つ。
 集会のあと、デモ隊が出発しました。すぐに目に付くだけで、制服の警察官が40人ほど、ほかにも制服ではない関係者らしき人たちがそれなりの数いました。このようなものものしい警備になることについて、参加者の一人は、自分たちは平和に訴えたいだけなのに過激派のような扱いで驚いた。と話していましたが、これはむしろ少数意見でした。何人かの人たちは、警察の誘導によって無事にデモができてよい、ということを話していました。

 このあたりの発想方法は、いわゆる『活動家』の人たちはとだいぶ違います。そういった意味では、ほんとうに「一般市民」の人たちなのだなぁと思いました。

デモ隊のシュプレヒコールは、

チベットに平和を
ダライラマと対話を
ストップ・キリング
セーブ・チベット
チベットに言論の自由を
チベットに教育の自由を
チベットに宗教の自由を
パンチェンラマを返せ

 などでした。シュプレヒコールの内容は統一されているようで、マイクを持つ人は紙を見ながら話していました。

「2ちゃんねる」発だったチベット弾圧反対のデモ隊 | 集会の様子。スカーフをしているのが主催者側のスタッフ。
集会の様子。スカーフをしているのが主催者側のスタッフ。
「2ちゃんねる」発だったチベット弾圧反対のデモ隊 | デモ隊の最後尾。お坊さんらしき人が2人いる。
デモ隊の最後尾。お坊さんらしき人が2人いる。
◇ ◇ ◇

ご意見板

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[33920] みなさま、いろろいなご意見ありがとうございます。
名前:Esaman
日時:2008/04/23 21:17
みなさま、私のつたない記事にいろいろとご意見下さいまして、ありがとうございます。
私自身、地元名古屋で「市民活動」にも、少しではありますが、かかわっておりまして、いろいろと思うところもありますので、この場をかりまして、みなさまと、いろいろと議論ができましたら幸いです。


●まず、このデモについて自分の感じたこと(おもに村上久三郎さんへの返信です)

私は、今回のデモの参加者の顔ぶれが「雑多な感じではない」と感じました。
理由は、500人規模のデモの割には、似たような歳格好の人たちが多かったからです。

なお、自分が「雑多な感じであった」として比較対象としているのは「名古屋で行われたときのイラク反戦の一連のデモ」です。
あのデモのときは、ほんとうに、いろいろな人が参加していて、非常に「雑多な感じ」になっていたと思います。

なお私は「雑多な感じ」という言葉は、集まりがいろいろな層の人たちを巻き込めている、という感じに、大変良い意味で使っています。
「取るに足りない“雑多”なもの」という意味では使用していないので、よろしくお願いします。

あと、非常に個人的な話ではありますが、私もチベット人の友人がおりますが、そのことは、このデモに対して、かえって違和感を感じる原因になっている気もします。


●事実を伝える記事について(おもに中西俊さんへの返信です)。

自分の記事は、事実を伝えるとともにも、記者の主観として感じたことを伝えるよう配慮したつもりです。
理由は、このデモには報道関係者もたくさん来ており「何人集まって、何を訴えた」というような内容の記事は、各社にのるだろうと思ったので、現場で感じた小さなことをクローズアップしてみました。


●既存の「活動」と「今回のチベットデモ」の比較について(おもに坂井貴司さん・田中秀郎さん・小倉文三さんへの返信です)

従来のスタイルに固執する「活動家」「市民団体」には、ぜひとも参考何してもらいたい部分が多数あるのと同時に、
既存の活動団体から、学んだほうが良い部分もあるのではないか、と思っています。

「ボランティア保険」にかんしては、そんなものに加入できるのか! と驚きました。とはいえ、万が一弾圧された場合は、なんの効果もないでしょうから、意味ないかもしれませんが…

シュプレヒコールやプラカードや主張内容に関しては、既存の市民運動は「わがまま放題に独り言を言いすぎて、一般人に敬遠されている」と思いますが、このチベットのデモは、少々規制をかけすぎの印象をもちました。

「警察の誘導によって無事にデモができてよい」という意見にかんしては、その発想はどうなんかなぁ、と思います。
別に警察と衝突する必要はありませんが、権力とは緊張関係を意識してもっておかないと、なあなあのうちに自分たちが規制する側に回ってしまう可能性もあるので、要注意だと思います。

今回のチベットのデモに関しては、全体的に「フットワークが軽い」というよりは、むしろ、かなりの手間をかけて準備されている、という印象をもちました。
それはとても良い事なのですが、場合によっては参加者が「窮屈な」感じもするのではないか、とも、思いました。
記事ではかきませんでしたが、あのように「規制」がおおくては、既存の活動家は合流できないだろうし、声もかけていないのではないか? とも思いました。
もっとも、合流しなくてもいいのかもしれませんが。


また、デモの訴えている内容が「チベットと中国の間の問題の解決を」というような感じで、どこか遠くの話題になってしまっている、という印象を、集会とデモ、全体を通して感じました。
たしかにチベット人は地元には少ないので「遠くの話題」ではありますが、権力との関係を考えると、中国はチベットと対話しろ、という単純な話でもないんじゃないかな、とも思いました。

また、私は個人的には「歴戦の活動家」の方には、ぜひとも現場でのノウハウを教授する役目『だけ』をしてもらって、余計な主義主張は、いわんでほしい、と思っています。
[返信する]
[33904] 新しい動き
名前:小倉文三
日時:2008/04/23 06:53
 記事の感想としては、村上さんに近いです。命がけにならなくてもいいと思います。もっと評価すべきだと思います。


 「歴戦」の活動家でなくてもいいんじゃないですか? 軽いフット・ワークの「デモは初めて」の素人で十分だと思います。家で、TV観ているだけの人よりよほどましだと思います。不満なら、活動家の方が合流すればいいのに、と思います。


 昨年末に、高知県知事選挙があったのですが、高知市の20代の若者の投票率は、20パーセントでした。私は、集会などに顔を出す方ですが、集会には若者が全くと言っていいほど来ません。


 公安警察が、たぶん、この記事を参考にすると思います。そして、対策の立てようがないことが議論になると思います。今後のこうした動きに注目だと思います。
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[33903] 私も違和感を感じました
名前:坂井貴司
日時:2008/04/23 02:31
私もこの記事を読んで、このデモに違和感を感じました。
私は主に、非正規雇用に関するデモ(サウンドデモ)に参加してきましたけれど、この記事のチベットデモは何か違う感じがします。
なにか、チベット人弾圧に対する怒りや同情と言うよりも、中国が嫌いだとか、テレビが報じているからだとか、ネットで盛んに書き込みがされているからだ、といった感じで参加しているのではないかと思いました。本気でチベット問題に取り組もうという気が感じられません。
それは、私もチベットに関しては講釈をたれるほどの知識はありませんし、関心も強くはありませ。このデモの参加者との違いはないと思います。しかし、「警察の誘導によって無事にデモができてよい」、という参加者の発言や、ボランティア保険加入云々には、「ちょっと待てよ」と言いたくなります。それって、命がけでデモを行っているチベット人たちと連帯すると言えるのか、と思います。
なんか、違和感を感じます。
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[33896] おもしろいですね
名前:田中秀郎
日時:2008/04/22 21:40
今までのデモが陳腐化しているのに
従来のスタイルに固執する「活動家」「市民団体」の
方は参考にしてもらいたいですね。

このような活動にもそのうち既成政党などが
入り込んできそうですが、、、、。
反核運動の2の舞などにならないことを祈る次第です。
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[33892] 重要な記事と思います
名前:中西俊
日時:2008/04/22 17:41
主張を伝える記事があるが、事実を伝えるだけの記事でもよいと思う。
事実から何を受け取るか、何を考えるかは、各人の判断。

私は、チベット問題に関心を持つ人達の層は、日頃、政治や世界の動きに関心を寄せていない人達にも広がっているのではなかろうか。つまり、底辺が広いのではなかろうかと感じます。
この見方が正しければ、かなり需要なことです。
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[33883] チベットデモ
名前:村上久三郎
日時:2008/04/22 12:20
 申し訳ありませんが、この記事を読んで、記者が何を言わんとしているのか、よく分かりません。集まっている人たちが“雑多な感じ”であるという表現もあるが、適切な別の言葉があるのでは。この記者が“雑多”と書けば、私もこの記者の記事が“雑多”に感じます。
 チベット問題に限らず、いかなるデモの参加者も、記者によっては“雑多”に感じられるかも知れません。チベット問題に対する市民記者の意見・思想は千差万別です。しかし、市民記者が、たった1人のチベット人友人をお持ちかどうかで、その記者の考えは大きく変わるものです。その意味で、人の思想や意見などは、取るに足りない“雑多”なものでしょう。“2ちゃんねる”のことはよく分かりませんが、世間には“JanJan記事は雑多”というイメージを持たれておられる読者がいるかも分かりません。
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