ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> マイタウン> 福岡・北九州> 記事 鶴の里小郡 童話で復活2008年04月22日
江戸時代には筑後平野に飛来していた鶴を題材にした創作童話「鶴が来た村」の絵本を、小郡市の町おこしグループ・松崎歴史文化遺産保存会が発行した。地元の童話作家とイラストレーターが、親子の鶴を襲う鷹(たか)を身をていして追い払う少年「千代吉」の活躍を描いた。「古里の歴史を再発見してほしい」と、地元の小中学校や図書館に寄贈するほか、希望者には有料で頒布している。(佐藤彰) 童話を創作したのは同市三沢の田熊正子さん(72)。挿絵はこの絵本がデビュー作となる同市福童のイラストレーター倉吉明美さん(37)。地元の地名や江戸時代の農家の暮らしぶり、自然の様子をわかりやすく紹介している。 物語の主人公は、体の弱い母のため、たらい船に乗って食用のフナを取る12歳の千代吉。大陸から渡ってきた親子鶴が水辺に降り立ち、父を亡くしたばかりの千代吉が、仲むつまじい鶴の一家をうらやましい気持ちで見とれていたときに事件が起きた。親子鶴を目がけ、鷹が矢のような速さで襲ってきた。 千代吉は石を投げて追い払ったが、次に千代吉を襲ってきたため草刈り鎌で応戦。気がつけば、鷹の鋭いつめで着物は引き裂かれ、肩から血がしたたり落ちていた。千代吉の心を痛めたのは、傷の痛みよりも着物の破れを嘆くであろう母の顔だった。千代吉の目に、九千部(く・せん・ぶ)の山並みに沈む美しい夕日が映り、涙がわけもなくあふれ出た。 鶴が高級食材だった江戸時代には、物語の舞台となった同市松崎では鶴の飛来数を記録したり餌を与えたりする「御鶴番(お・つる・ばん)」の小屋があった。その名残で1895年に建てられた明治期の代表的な旅籠(はた・ご)建築「鶴小屋」が今も地元に残っている。 先祖が御鶴番をつとめていたという松崎歴史文化遺産保存会の黒岩勝正事務局長(59)は「市内にはかつて鶴をはじめさまざまな水鳥が飛来した古飯(ふる・え)大沼があり、今よりもっと自然が豊かだった。いにしえの古里に思いをはせ、自然の大切さを子どもたちに伝えたい」と話している。 全32ページ、頒布価格600円。問い合わせは黒岩さん(0942・72・9727)。 マイタウン福岡・北九州
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