カレンダー |
03
| 2008/04 |
05
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
- |
- |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
- |
- |
- |
|
プロフィール |
Author:セオ
青山学院大学准教授 HPは http://www.sipec-square.net/~kseo/
|
|
|
|
格差論争を楽しむ(その1) |
私は格差論争大好きです。
理由はバカバカしいから。そのへんのテレビタレント程度のおっさんから、まともな大学の先生までいろいろな“論客”が口角泡を飛ばしてますが、ぜんぜん話がかみあっていない。ハタで聞いているとほとんど「粗忽長屋」みたいです。「粗忽長屋」を知らない人のために書いときますと「犬から熊の胆がとれるもんか、鹿とまちげえるな」ってあれです。ハナはまともな人もいたんだけど、あんまりそそっかしいからバカバカしいんでみんな越してっちゃう。あとにそそっかしいのだけ残るんですよね〜
格差論争−特に、“ニート”とか“ネットカフェ難民”とかをターゲットにした“論争”って若い人から「大人のしゃべり場」って言われてるらしいですね。スルドイ。そうです。まさにしゃべり場です。まめを食い食い、政治家の悪口とか、結論の出ない“社会の矛盾”とかを言い合うことほど楽しいことはありません。あんまり深刻なことだとダメなんです。戦争が始まったとか、本当の貧困で餓死者が毎秒何人もでてるとか。そういうのでは盛り上がれません。でも「若者の非正規雇用」とかそういうのは、なんだかんだ言って、それほど深刻な問題ではないし、半分以上本人の責任だからツマミにもってこいなんです。
あとになればわかることですが、若いというのはやっぱたいしたことです。若ければ、大概の苦難は力で乗り越えられます。普通の大人は、若いころの困難と年老いてからの困難では桁違いだということを知っています。だから、ニートがどーした、なんて話なら、まめを食い食い「大変だね」って楽しめちゃうのです。
さて、暇つぶしにこの本を買いました。まさに粗忽長屋並の統一感のなさです。↓
この本のなかで、というか「格差論争」の論客のなかで、一番まともなのは、まあ阪大の大竹先生でしょう(ちなみに対極は、森永豚郎と慶応の金子ハゲル)。ここ20年くらいのジニ係数の拡大は、高齢化が原因だとと議論しています。なぜなら、同じ世代のかなでの「格差」はあまり拡大していないからです。人間生まれたときはゼロですが、年齢を重ねれば重ねるほど、ゼロから格差は開いてきます。社会主義じゃないんだから当たり前ですね。だから高齢者の割合が高くなれば、「格差」は開いて普通。だから問題はないという議論です。数字をきちんと読んでおり、議論も非常にすっきりしています。
でもね、大竹先生はセンスがない。こんなに理論的な話をしては、議論が終わってしまいます(笑)。初めに言いましたが、「格差論争」なんてしゃべり場のネタです。結論を出しちゃったら、ネタがなくなるではないですか。暇人にとって「格差論争」のようなネタは開放同盟にとっての「差別落書き」と同じです。困った困ったと騒ぐために、適当なネタはなくてはならんのです。
ところで日経新聞もこのネタファンのようです。8月25日付け日経一面、ジニ係数拡大を伝える記事のなかで「世代内の所得格差が広がっているとの指摘がある」とあえて述べています。よく読むと、ジニ係数増大の原因のほとんどは高齢化だということを言ってるんですがね。でも、これでは「なにも問題なし」になってしまうので、ほとんどは高齢化だけれど(全部じゃなくて)、「世代内の格差」も少しは広がっている、と苦労がしのばれる記事となっています。ちなみに、「所得再分配後の格差」はまったく広がっておらず、政策課題があるようには見えないのですが、それでも(なんでかわからないけれど)「景気回復の恩恵の行き届きにくい若年層や地方の所得をいかに高めるかという課題は依然残っている」なんて書いてます。ま、ようは格差論ファンってことなんでしょう。格差論ファンとみられる(誰だか知らないけど)樋口とかいう先生のコメントも載ってます。これが笑えるものがあって「調査で所得格差が拡大傾向になることがはっきりした。経済成長をすれば格差問題が解決するとは一概に言えなくなった、賃金水準の低い非正社員の待遇改善など・・(馬鹿馬鹿しいんで、以下削除)」なんて言ってます。「高齢化が原因」という指摘がすでに明確になされているなかで、この数字を見てどうしてそんなコメントがでるのかわかりませんが・・専門が商学だからですかねえ。。。−−;と思ったけれど、単に格差論バブルを少しでも長持ちさせたいマニアなのかもしれませんね。
というわけで、何回かにわけて「格差論争」を楽しみたいと思います。 →さいぞう二代目
|
|
|
|