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リスクチェーン

2008年04月25日

「仕組み」の経済学―13

 一向に出口が見えないサブプライムローン問題と、日中政府共に忘れたがっているように見える冷凍ギョーザ問題は通底している。

 サブプライムローンとは、低所得者用の住宅ローンと低リスクの金融商品とを何段階にも組み替え、世界中の投資家に販売したものである。一方、冷凍ギョーザはコスト削減のために生産プロセスを新興国にアウトソースしたものである。「北京で蝶(ちょう)が羽ばたくと、ニューヨークでハリケーンが起こる」という複雑系の世界が現実になっている。

 市場経済に参加する人口が爆発的に増加し、ITが取引コストを飛躍的に引き下げた結果、商品のサプライチェーンは延び続け、生産者と消費者の距離は遠ざかる。サプライチェーンは、付加価値が増加し、コストが削減される限り続くバリューチェーンでもある。

 更に、延びきったチェーンの途中で不測の事態が起こりうるという意味で、リスクチェーンでもあるのだが、世界はこのグローバル化のリスクを軽視してきたといえる。

 中でも、グローバル化にもかかわらず、国家のリスクは依然大きい。

 越境すれば、品質管理、コンプライアンス、治安、法の支配、汚職などのリスク要因が指数的に増大する。特に我が国政府は、サブプライムは他人事、冷凍ギョーザでは中国の強引な物言いに沈黙、Jパワーのような国策(天下り)会社への外資の出資では市場閉鎖に動き、10年無策を続けた温暖化問題も最後は企業と家計に排出コストを押し付けようとする。

 このリスクチェーンでは、無策に加え、鎖国志向、官僚利権の擁護に走る我が国の行政が最大のリスク要因かもしれない。(四知)

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