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青山学院大学准教授
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改革の負の部分:タクシー業界(1)
マスコミで最近よく聴く言葉「改革の負の部分」。なにか構造改革のコストみたいな感じですが、よく聞いてみると、「いままで既得権にしがみついていた土建屋とかタクシー運転手とかの手取りが減少した」って話だったりするんですね。あるいは公務員の数が減らされて、定時にしか帰れなくなったとかね。私はこれ「改革の負の部分」ではなく、これぞまさに改革の成果だったと思ってます。規制を緩和してどんどん新しい血をいれれば、業界全体はよくなりますが、よどんだ流れで生ぬるく生きてきた者は退場を迫られます。それの何がいけないのでしょう?

この文脈で一時よく取り上げられたのがなぜかタクシー業界。個人的には新聞販売員とかのほうがよっぽど「格差」を代表する仕事のように思われるのですが、新聞社にとって都合が悪いのか知りませんが取り上げられないですね。

さて、タクシーについて、森永豚郎さんがこんなことを言ってます。「私は先日鹿児島空港から市内まで乗ったタクシーの運転手さん、なんと一日の売り上げが2500円しかない日も多いんだそうだ。リストラや規制緩和によってそのような厳しい境遇に転がり落ちてしまうという状況それ自体を問題にすべきではないか」(世界2006)

世界もよくこんなの載せると思いますが、これに対して日垣隆は「この運転手は本当に2500円と言ったのだろうか。だとしたら、日本のタクシーの平均売り上げを大きく下回る数字である。それでも『社会の仕組みのほうが悪い』のか」と言っています。正論ですね。「社会の仕組み」を問題にするならもっと大きな数字をみなければなりません。たまたま著しく業績の低い個人の責任までとらされたのではかないませんね。

実は瀬尾のうちの裏にもタクシー会社に勤めてたやつが住んでるんですが、お昼になると戻ってきて昼食をたべたあと、エンジンつけっぱなしで寝ていた。あっというまに首になりました(こいつ下品で乱暴者でガキばかりごろごろいる)。これ、社会のせいじゃなく個人の怠慢のツケです。

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地方と都市部の「格差」と「構造改革」
ゼミの合宿で学生と一緒に琵琶湖に行って来ました。琵琶湖博物館の特別研究員のMさんにガイドをしていただき、琵琶湖周辺でお魚調査をしながら、琵琶湖の水生生物の現状について勉強させてもらいました。

その結果分かったことは、固有種を絶滅の危機においやり、外来種を大繁殖させた元凶は「公共事業」だ、ということです。琵琶湖の固有種は、琵琶湖周辺のもともの河川環境で繁殖します。具体的には河岸の浅いところや葦の中などです。一方、ブルーギルやブラックバスなどの外来種は、外国のクリークのような河岸から急に深くなっている河で繁殖できるように進化しています。

河川工事で河岸に矢板を入れたり、護岸工事をして「河岸」の泥地をなくしてしまうと、外来魚には有利になる一方、固有種は繁殖の場所を失ってしまうのです。

およそ河川に関する公共事業で、環境に深刻なダメージを与えないものは少ないです。「綺麗なダム湖ができてむしろ環境はよくなったじゃないか」なんていうのは、生態学を知らない文系の言うことです。慎重に自然観察をすることができる目や耳をもった者にいは、環境の悲鳴が聞こえます。ではなぜそうまでして公共事業をしたいのか?(無駄な)公共事業は仕事を作るからです。護岸やダムは無駄でいいのです。仕事を作ること自体が目的なのですから。

地方には公共事業しか仕事がない場所が沢山あります。土木作業員とその家族と、彼らにものやサービスを提供する小さな商い以外なんにもない、という地域が本当にあるのです。こういう地域では−なにしろ公共事業しか仕事がないのですから−仕事をつくるためには、無限に公共事業を続けなければなりません。そうして無駄金を使い、環境を破壊しつくしていくのです。

小泉政権が目指した構造改革は、こうした角栄型改造論的な負の連鎖を断ち切るために大鉈を振るう内容でした。

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もうちょっと楽しむネットカフェ難民の生態学:格差論を楽しむ(3)
ネットカフェ難民、連続置き引き「5000円切ったら仕事」ネットカフェ難民が生活費を稼ぐのに、カフェ内で置き引きをしていたという話。犯人は18歳の少年です。

このニュースのすごいところは「少年は6月22日午前7時50分ごろ、足立区千住の「エアーズカフェ北千住店」で、個室で寝ていた男性会社員(29)のテーブルから現金16万円が入った財布を盗んだ疑い。」16万も持っててなんでネットカフェで寝るのかよくわかりません。私なら迷わずそのへんのビジホでもとりますが、お金があるのに泊まる人がいるのですから、よほど魅力がある空間なのかもしれませんーネットカフェ。ちょっと泊まってみたいです(マジ)。でもどうやって探したらいいでしょう・・安心して泊まれるネットカフェガイドとか出てます?→京町恋しぐれ


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「ネットカフェ難民」は差別語だ:格差論を楽しむ(2)
前回、格差論争、とくに若者にまつわる格差論争なんか大人のしゃべり場のネタだと書きました。でも、ただぐたぐた言い合いだけでは飽き足らず、これを利用して一儲けしようとたくらむ大人がが出てきたりするんですよね〜本を書いて売り出したりしてね(笑)江戸っ子じゃないですね。

今日の新聞に面白いことがかいてありました。30日付けスポーツ報知,「ネットカフェ難民」は差別語だ。→「ネットカフェ難民」という言葉で、ネットカフェ業界が風評被害を受けたという訴えです。実際「難民」に愛の手を差し伸べているのは業界なのに、「愛の手が必要だ!」って訴えて金儲けをたくらむ連中の犠牲になってると(笑)。このなかで面白いのが厚生労働省への抗議で「『ネットカフェ難民』の存在をことさら問題視して対策費を計上しようとする厚労省の姿勢に抗議する」としています。鋭いですね。どんなことでもネタにして、自分たちの勢力拡大を図る役人の本質を的確に突いています。
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格差論争を楽しむ(その1)
私は格差論争大好きです。

理由はバカバカしいから。そのへんのテレビタレント程度のおっさんから、まともな大学の先生までいろいろな“論客”が口角泡を飛ばしてますが、ぜんぜん話がかみあっていない。ハタで聞いているとほとんど「粗忽長屋」みたいです。「粗忽長屋」を知らない人のために書いときますと「犬から熊の胆がとれるもんか、鹿とまちげえるな」ってあれです。ハナはまともな人もいたんだけど、あんまりそそっかしいからバカバカしいんでみんな越してっちゃう。あとにそそっかしいのだけ残るんですよね〜

格差論争−特に、“ニート”とか“ネットカフェ難民”とかをターゲットにした“論争”って若い人から「大人のしゃべり場」って言われてるらしいですね。スルドイ。そうです。まさにしゃべり場です。まめを食い食い、政治家の悪口とか、結論の出ない“社会の矛盾”とかを言い合うことほど楽しいことはありません。あんまり深刻なことだとダメなんです。戦争が始まったとか、本当の貧困で餓死者が毎秒何人もでてるとか。そういうのでは盛り上がれません。でも「若者の非正規雇用」とかそういうのは、なんだかんだ言って、それほど深刻な問題ではないし、半分以上本人の責任だからツマミにもってこいなんです。

あとになればわかることですが、若いというのはやっぱたいしたことです。若ければ、大概の苦難は力で乗り越えられます。普通の大人は、若いころの困難と年老いてからの困難では桁違いだということを知っています。だから、ニートがどーした、なんて話なら、まめを食い食い「大変だね」って楽しめちゃうのです。

さて、暇つぶしにこの本を買いました。まさに粗忽長屋並の統一感のなさです。↓
論争 格差社会 (文春新書) 論争 格差社会 (文春新書)
文春新書編集部 (2006/08)
文藝春秋
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鬼の累進
総務省による所得税、住民税の試算は各階層毎に発表されているようですが、実にすべてがセンギョー基準のようです。まあこれは前回指摘したのでいいんですが、今回はその数字

年収300万円 所得税0円、住民税700円
年収500万円 所得税2800円、住民税11300円
(いずれも今年6月から)

年収300万の人って、税金払ってないんですね。払ってないのに選挙に行き、払ってないのに公道を歩き、払ってないのに公教育が受けられて、ときに給食費を踏み倒したりできるわけです。日本ってい〜〜〜〜〜い国ですねえ。300万といえば月25万。らくらく暮らしていけます。

ところが年収がわずか1.6倍の500万になると実に住民税は16倍にもなります(前者は点がはいってますからね、「いってんろく」ですよ、それにたいして後者は「じゅうろく」ですからね)。所得税にいたっては∞倍(2800/0)。この国で働くことは損だ、ということです。

これが年収1500万になるとすごいですよ。所得税75530円、住民税82900円。年収が500万から3倍にしかなっていないのに、所得税は27倍、住民税も8倍近くになります。

つまり国や地方からみてみれば、年収1500万円のエリート一人は、年収500万の15人分の価値があるということです。年収300万の人間にいたっては、100人束になってもたった一人の1500万にかないません。

年収1500万の人を仮に桐野箱に入った宮崎産マンゴーとしますと、500万はフィリピン産の黄色マンゴー、300万は食べ残しの皮と種、ってかんじでしょうか。




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格差の固定化
格差議論が盛んである。与党も野党も参議院選挙の道具に使おうとしているように見える。ところで私は所得格差は実力の差に対する正当評価だと思っているのであったほうがよいと思っている。でも、どうやら自分はマイノリティーのようなので、実際格差のなにがいかんのか、他人の話を聞いてみた。

Q:格差がなぜいけないのか?
A(その1):
格差が一代限りの差ならいいのだが、格差は固定化する。親が下流だと子供がどうしても下流になってしまう。これは機会の平等に反して非効率。


Q:格差がなぜいけないのか?
A(その2):
格差があって下層の人たちが出てくると、将来が不安で子供が産めなくなるので、少子化に拍車がかかる。


ふんふん、なるほどねえ。。。。?

低所得が子供を産まないなら、格差が固定化するわけないじゃないですか。



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