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妊婦には、だだちゃ豆

2008年04月25日07時40分

 鶴岡特産の「だだちゃ豆」には、妊娠初期に特に必要となるビタミンB群の「葉酸」が大量に含まれていることが分かった。茨城県つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所大豆育種研究チーム、増田亮一主任研究員が分析した。健康機能性成分の多いことは、だだちゃ豆の新たな魅力として、販売拡大につながりそうだ。

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白山ダダチャ=東海林晴哉さん撮影

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 JA全農・営農総合対策部の技術情報誌「グリーンレポート」4月号で発表した。

 丸大豆を加工した豆腐や納豆、煮豆にはイソフラボンやサポニンが多く、枝豆にも、サプリメントとして知られる葉酸や「コエンザイムQ10」が豊富に含まれる。葉酸は、ゆでた枝豆でも2割しか減らず、枝豆は葉酸の供給源として有望とみられていた。

 増田さんは、山形大農学部の赤澤経也准教授と江頭宏昌准教授の協力で、だだちゃ豆と派生品種など約50種を栽培して葉酸含量を調べた。

 その結果、紫ダダチャが100グラム当たり葉酸1090マイクログラムに達したのをはじめ、JA鶴岡が「だだちゃ豆」として商標登録した10種に含まれる平田豆、白山ダダチャ、庄内5号などが極めて高い値を示した。雪印種苗で開発した早生(わせ)の育生品種に庄内5号なみもあったが、それ以外の育生品種はあまり高くなかった。小真木ダダチャや晩生(おくて)の在来品種で新潟の伝統野菜「肴(さかな)豆」は低かったものの、葉酸が豊富とされるアスパラガスに比べてひけは取らなかった。

 緑黄色野菜としても、枝豆は葉酸含量で勝り、なかでもだだちゃ豆のおいしい系統は抜きんでていた。

 枝豆の葉酸は収穫適期まで増加し続け、子実が黄色くなると低下する。さやの収穫後は減少するが、食味成分を保つ特殊包装にして15度以下にしておけば、7日後でも葉酸の6割以上が保たれる。

 また、葉酸が低下した枝豆は、甘みや食味を決めるショ糖やグルタミン酸、アラニンも低下する。食味のよい枝豆ほど葉酸も多いという。

 増田さんは「だだちゃ豆の優位がこんなにはっきり出るとは思わなかった。規制緩和で、生鮮食品は栄養成分の表示も可能となったので、これからは『食べておいしく、同時にビタミン・葉酸も得られる』とアピールできるのではないか」と話している。(清水弟)

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 〈葉酸〉ホウレンソウの葉から発見された、ビタミンB群のひとつで、レバーや緑黄色野菜に多く含まれる。赤ちゃんの脳や脊椎(せきつい)のもとになる神経管の異常などの発症リスクを減らす効果がある。厚生労働省の摂取基準は、妊娠1カ月前から妊娠3カ月まで「1日0.4ミリグラム」。過剰摂取で発熱や呼吸障害を起こすこともあるため、「1日1ミリグラム」が上限という。

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