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【スポーツ】

「ドーピング水着だ」 薄い素材で世界新連発

2008年4月25日 紙面から

 東京都内で合宿している北京五輪の競泳日本代表が、世界新を連発した英国のスピード社製の水着に震え上がった。選手数人が初試着したところ、衝撃結果が表れたことが24日、明らかになった。選手からは「水着ドーピングだ」「ズルイ」と怒りとも焦りとも取れる声が渦巻いた。

 今年樹立された個人18個の世界新のうち、17個はス社製水着「レーザーレーサー」を着用した選手によって生まれた。北島らを指導する東京SCの平井伯昌コーチは、「(ス社と契約のない日本は)ハンディを背負っている。このままではメダルも減る」と危機感をにじませた。

 同コーチによると、ミズノ、アシックス、デサントの国内各社の水着を使用していた選手数人がス社製を試着して25メートルのタイムなどを計ったところ、練習用水着の時より0・5秒前後速かった。選手たちは「体が浮く。(感覚が)全く違う」との感想を話したという。沈みにくい素材とともに、強い締め付けで全身の体積が小さくなることでも抵抗減の効果があると考えられる。

 日本水連は水着メーカーとの契約の見直しを検討していないため、国内3社の開発に頼るしかない。北京開幕まで100日余り。競泳ニッポンは見えざる敵とも戦わなくてはならなくなった。

◆百メートルで0秒5違う

 平井コーチによるとス社の水着を着ると「百メートルで0秒5、二百メートルで1秒上がるイメージ」という。

 日本水連の佐野和夫専務理事は、ス社製水着の優位性を科学的に検証する必要性を示唆し、「(日本代表に水着を提供する)3社には五輪まで可能な限り、開発を進めてほしいと要望する」と話している。

 【主な日本人選手が着る予定の水着】

 アシックス 中村礼子、中西悠子

 デサント 佐藤久佳、柴田隆一

 ミズノ 北島康介、松田丈志

 【契約】 日本水連は12年ロンドン五輪までミズノ、アシックス、デサントの3社と契約済み。日本代表は他社の水着を試合で着用することができない。ミズノは昨秋までスピード社と国内ライセンス契約を結んでいたが、独自ブランドの復活を発表して契約を打ち切った。それまでは日本代表もス社製を着ることができた。

 【レーザーレーサー】 英国のスピード社がNASAと協力して開発、2月に発表した新水着。薄くて撥水(はっすい)性が高い素材で軽量化し、縫い目をなくしたうえ、内側への圧力を高めて選手の体積を抑えることで水の抵抗を減らした。記録ラッシュに国際水泳連盟(FINA)が、使用禁止の「推進力と浮力を与える用具」に当たらないかどうかを調査したが結果はシロ。日本選手権では前評判の高くなかった松本(自由形)、岸田(バタフライ)が代表入りを。現在はゴールドウインが国内販売権を所有。

 

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