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【主張】大間原発許可 原子力政策に重要な一歩

2008.4.25 02:55
このニュースのトピックス主張

 資源小国「日本」の原子力政策にとって重要な一歩である。

 経済産業省はJパワー(電源開発)が青森県大間町に建設を計画している原子力発電所の設置を許可した。

 大間原発は使用済み核燃料から再処理して取り出したプルトニウムとウランでつくる混合酸化物(MOX)燃料だけで動く世界初の商用炉で、日本の核燃料サイクル政策が大きく前進することを意味している。

 エネルギーの安定確保には、核燃料サイクルが重要である。青森県六ケ所村には日本原燃の使用済み核燃料再処理施設があり、今夏の本格操業をめざしている。しかし、燃料があってもそれを使用できる原発がなければ核燃料サイクルは実現できない。

 通常の原発で核燃料サイクルを実施する場合、使用するMOX燃料は全体の3分の1にとどまるが、大間は100%MOX燃料を使うことができる。

 MOX燃料の使用が始まらないと各原発の使用済み核燃料の貯蔵プールがいっぱいになって、個々の原発を止めざるを得なくなる事態が指摘されていただけに、大間が果たす役割は大きい。

 大間原発には世界の核不拡散体制を整備する意味もある。増大する電力需要をまかなうため、中東やアジアでも原発の建設計画が相次いでいる。そこで問題になるのは核不拡散とエネルギー供給の両立である。

 米政府は2006年2月に「原発を運転するだけの国」と「使用済み核燃料を再処理して他国に燃料を供給する国」の2つに分ける国際協力構想を打ち出した。構想には19カ国が参加している。

 その中で、日本は核兵器を持たない唯一の核燃料供給国として認められている。日本がその資格があることを実証する上でも、中核施設となる大間原発の役割は重要である。

 電力各社は平成22年度までに既存原発16〜18基でMOX燃料の利用計画を立てている。大間の先には投入した燃料よりも多くの燃料が生まれる高速増殖炉の計画がある。しかし、相次ぐ不祥事や事故のために日本の原子力政策は停滞している。

 原子力利用は地球温暖化防止の観点からも欠かせない。大間は10年ぶりの新設許可である。今回の許可を原発に対する国民理解を広げる転機にしたい。

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