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【主張】著作権ビジネス 競争だけでは健全さ奪う

2008.4.25 02:55
このニュースのトピックス主張

 テレビやラジオ番組で使う音楽の利用料で放送局と包括契約を結ぶことは、新規事業者の参入阻害行為にならないか。そんな理由から公正取引委員会が日本音楽著作権協会(JASRAC)を独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査へ入った。

 著作権に対する権利意識が高まっており、その受託管理事業者間で競争が進み、権利者と利用者双方へのサービス向上が図られるのなら結構なことだ。

 だが、著作権をめぐっては保護強化を求める声がある一方、行き過ぎれば健全な文化活動の自由度を奪うとの懸念も聞かれる。公取委には、そうした論議も念頭に、適切な判断を期待したい。

 音楽著作権の委託管理業務は平成13年に原則自由化されたが、新規事業者の苦戦は続き、事実上JASRACの“独り勝ち”になっているのが実情である。

 この背景として公取委が問題視しているのが、楽曲を番組で大量に使用する放送局とJASRACが締結している包括利用契約である。楽曲の使用頻度に関係なく、放送事業収入の一定割合(1・5%)が支払われる契約で、昭和54年に導入された。

 放送局側にすれば、個々の楽曲ごとに利用状況を申告する手間が省ける。JASRAC側のチェック業務も大幅に軽減される。いわば双方の利害が一致したなかで続いてきた制度だといえる。

 ところが新規参入組にすれば、せっかく楽曲管理を受託しても、放送局側が手続きの煩雑さや新たな負担を嫌って、その楽曲使用を見合わせる傾向にある。その結果、権利者側も新規事業者への委託は躊躇(ちゅうちょ)しがちだという。

 映画や音楽、ゲームなどいわゆるコンテンツビジネス市場は、いまや十数兆円規模に達し、なお拡大の傾向にある。このうち放送分野の音楽著作権収入は260億円とされるが、99%はJASRACが占めている。

 デジタル技術の普及で無断複製や海賊版による被害が深刻化している。その意味でも著作権管理の重要性が指摘されており、この分野の競争促進は必要だ。

 しかし、権利者保護は当然として、作品の常識的引用にまで著作権管理者側の規制の動きが見られるのは気にかかる。著作物は個人の財産であると同時に社会全体の文化財だ。行き過ぎた規制は社会を息苦しくさせないだろうか。

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