1週間ほど前、米大リーグで延長22回というとんでもない試合があった。引き分けを嫌い、ちゃんと白黒決着をつけるのが大リーグ流 建前は立派だが、付き合わされる選手や観客は大変である。試合は結局、エラーがきっかけで終わった。回が進むに連れ、出てくる投手は二線級、選手も疲労が重なるから、勢い凡戦になる 米民主党の大統領選指名争いも、延長戦がまだ終わらない。送られてくる映像は熱狂する支持者ばかりとらえるが、長過ぎる戦いにしらけ切った有権者も少なくないだろう。この延長戦も回が進むに従い、政策論争よりも相手の揚げ足を取る敵失狙いの展開になってきた 中傷合戦が目立つ上に、テレビ広告に注ぐ資金力を競い合う金権選挙が続く。民主主義の本場で繰り広げられる「大衆迎合」の見本のような戦いである。凡戦だった野球の試合は、約2万人いた観客が最後には数百人に減ったとか。大衆迎合も、ほどほどにしないと危うい 日本人の政治意識は低い、と常々説教をする識者がいる。が、その彼らが敬ってやまない米国も、自慢するほどではなさそうである。
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