石井正弘岡山県知事と平井伸治鳥取県知事は23日、鳥取県智頭町智頭の石谷家住宅で会談し、両県を結ぶ道路整備の促進、道路特定財源問題の早期解決などを国に求める共同アピールを宣言した。観光、物産面での連携強化でも一致するなど、数十年ぶりとされるトップ会談の実現で、一時悪化していた両県の関係は、新たな一歩を踏み出した。 共同アピールでは「産業、観光振興に向けて両県の交流を促進するには、高速道路、地域高規格道路の整備が喫緊の課題だが、道路特定財源が期限切れとなり、地方財政全体に多大な支障が生じている」と指摘。 両県を結ぶ姫路鳥取道、北条湯原道路の整備促進、米子道4車線化を強く要望するとともに、地方道路整備臨時交付金制度の存続、暫定税率問題の早期解決、歳入欠陥の補てん措置を強く求めている。 このほか、観光面では、美作三湯と三朝温泉を一体化させたPRなど、岡山県北と鳥取県との広域観光の可能性、アジア地域からの観光客誘致について意見交換。両県の協力体制構築へ事務レベル協議を始めることで一致した。 関西圏などで両県合同の物産展開催の可能性を探るため、関係者同士で会合を開くことも申し合わせた。 終了後、石井知事は「ウラン残土問題がどうしても背景にあったが、開催を強く願っていた。両県の未来のためにも良い会談だった。ぜひ継続的に実施したい」と強調。 平井知事も「陰陽の連帯を深めるきっかけになった。(会談実現は)時代の転換を見る思い」と成果を語った。 今回の対談は、昨年4月に就任した平井知事が同年12月の全国知事会で、隣席だった石井知事に持ち掛けて実現。両県知事の会談は昭和40年代にあったとされるが、記録が残る1975年以降は例がないという。 両県は、88年に鳥取県湯梨浜町方面(かたも)で発覚したウラン残土の処理をめぐり、長年関係が悪化していた。