若葉、青葉が目に染みる時節となった。いよいよ今週末から心浮き立つゴールデンウイークに入るが、今年はどうやら海外旅行者が前年に比べて大幅に減る見込みらしい。
曜日の並びが悪い上に、燃料費の高騰による航空運賃の値上げが影響したのだろう。大手旅行会社がまとめた旅行動向(二十五日〜五月五日)によると、前年同期比14・6%減の四十五万八千人。五十万人を割るのは、新型肺炎(SARS)が流行した二〇〇三年(二十三万四千人)以来五年ぶりとなる。
ならば、と国内に目を向けると、一泊以上の旅行者は0・2%減の二千百四十四万人。景気の先行きが怪しいせいか、こちらも手控えムードのようだ。
<いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる心地すれ>
吉田兼好は旅の面白さを徒然草に書いた。どこであれ、ちょっとした旅に出掛けると別世界がひらけ、目が覚めるような新鮮な気持ちになるものだ、と。
厚生労働省が発表した連続休暇日数の平均は五・〇日(昨年五・六日)。岡山県内の製造業では休日が飛び石になると生産効率が悪いため、十一、十連休にする会社もある。
時間と財布に余裕があれば、足の向くまま、気の向くまま、陽気に誘われて遠出をするのもいいだろう。
休むために働くのか、働くために休むのかはともかくとして、旅先で目からうろこを落とし、心のあかも落とせるといい。
(編集委員・国定啓人)