今年は明治維新から百四十年になる。それを記念し、岡山城(岡山市)で春季特別展「明治維新百四十年 山陽道諸藩の幕末、維新」が五月十八日まで開かれている。岡山、長州藩などの関係資料が展示されている。
中でも長州藩に出入りしていた坂本龍馬の記した「新政府綱領八策」が目を引く。二院制導入や人材登用など近代国家の形成に向けた意見書である。後に明治政府の基本方針となった「五カ条の御誓文」につながったともいわれる。
明治維新で中央集権体制が築かれ、日本を変身させた。近代革命の手本とされ、繁栄をもたらした。だが、今や中央集権の弊害は強まり、地方分権の必要性が叫ばれる。
分権の有力な手法として道州制が検討されている。中央が補助金や法律などで地方を画一的に統制する仕組みを改め、地方が独自の財源や権限を持ち、地域の実情に応じた施策が打ち出せるようにする。明治維新に匹敵する大改革といわれる。
政府の道州制ビジョン懇談会は中間報告で「二〇一八年までに道州制に完全移行すべき」と提言した。偶然ではあろうが、明治維新百五十年が期限に設定された。
十年後には「平成維新」が実現しているだろうか。中央官僚の強い抵抗を払いのける政治家の力量と、それを後押しする国民の熱意が試される。