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野村証券不祥事 世界戦略に問われる管理

 企業間の株式交換に関する情報などを基に株のインサイダー取引をしていた疑いがあるとして、野村証券の元社員ら中国人三人が証券取引法(現金融商品取引法)違反の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 調べでは、元社員は昨年十二月まで企業の合併・買収(M&A)や株式公開買い付け(TOB)を担当する企業情報部に在籍し、職務上知り得た未公開情報を同時に逮捕された中国人会社員とその弟に伝えて株取引をさせていたとみられている。富士通が株式交換で富士通デバイスを完全子会社化するとの情報を基に約四百九十万円の利益を手にしたほか、二十一銘柄で不正取引を繰り返し五千万円弱の利益を得た疑いがある。元社員は二〇〇六年二月に入社し、逮捕とともに解雇された。

 企業情報部は、契約を結んだ企業間の機密情報など、株価に直接影響を与える重要な情報が集まる部署で、今回の事件は究極のインサイダー取引といえる。野村証券はガリバーと呼ばれる業界最大手だ。投資家への許し難い裏切りであり、世界の金融市場の混乱が続く中、日本の株式市場全体への影響も懸念される。管理責任が厳しく問われて当然だ。

 証券取引等監視委員会によれば元社員は入社四カ月後から不正を行っていた形跡があり、取引に使った口座の中には所在不明の中国人とみられる名義のものもある。昨年十二月に異動した先の香港現地法人でも同様の不正を行っていた疑いも持たれている。関係機関による全容解明が待たれるが、野村証券は率先して事実関係を調べ、明らかにする責務がある。

 経済のグローバル化に伴い企業内で働く人材も国際化している今、コンプライアンス(法令順守)の盲点を示した事件でもある。M&A仲介ビジネスは証券会社にとって「ドル箱」であり、国際ビジネスには外国人社員の存在が欠かせない。特に高成長を続ける中国の企業とつながりを持ち、法制度や慣行を知る中国人社員の獲得が重要になっているという。

 野村証券は、企業情報部の社員に機密保持義務を確認する誓約書を年二回提出させ、逮捕された元社員はコンプライアンスの研修も繰り返し受けていたというが、形がい化し、内部管理に甘さがなかったのか。早急な見直しが求められよう。

 生き残りをかけて多くの企業が海外進出やM&Aを進めている。証券、金融業界だけでなく産業界が他山の石とし、情報管理や法令順守の態勢をチェックし直さねばならない。


消費者庁創設 司令塔の機能果たせるか

 福田康夫首相は、消費者行政を一元化する組織として独立官庁型の「消費者庁」を来年度に創設する方針を「消費者行政推進会議」で表明した。

 「国民目線」による生活者重視の姿勢を打ち出す福田政権にとって、消費者行政の一元化は目玉政策の一つだ。首相が推進会議の報告書を待たずに、消費者庁の設置方針を明言したのは、権限縮小につながる関係省庁の抵抗排除に不退転の決意を示したものといえよう。

 消費者庁について首相は、商品・金融の取引や食品・製品の安全、表示など消費者の安全安心にかかわる問題を幅広く所管し、一元的な相談窓口と企画立案、法執行、監督官庁へ行政処分を促す是正勧告権の機能を持つ「司令塔」と位置付けた。

 同時に、行政肥大化の批判を招かぬよう、関係省庁から法令・権限だけでなく機構・定員も振り替えて再編する方針を示した。また、悪徳商法で得た違法収益を業者から没収するなど被害者救済を視野に入れた新法の検討や、地方の消費者行政強化に向け国の支援、法整備を進めること、消費者庁の運営に消費者の意見が反映される仕組みを検討することも表明した。

 政府は、制度設計を担う推進会議が五月にまとめる報告書を受けて基本計画を策定、今秋に想定される臨時国会に「消費者庁設置法案」(仮称)を提出し、来春発足を目指す考えだ。

 消費者庁が安易に屋上屋を架すことなく、真に消費者サイドの視点に立った機能を果たし得るのかどうか。縄張り意識が強い霞が関の壁を払って再編するのは容易であるまい。基本計画策定の過程で、官僚側の抵抗によって組織・権限が「骨抜き」にされないよう、首相の指導力、政府一丸となった取り組みが求められる。

(2008年4月24日掲載)
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