奥村徹弁護士の見解(hp@okumura-tanaka-law.com) このページをアンテナに追加 RSSフィード

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プロフィール

弁護士 奥村 徹
奥村&田中法律事務所
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/top.htm
530-0047 大阪市北区西天満4-2-2 ODI法律ビル203
TEL06-6363-2151 FAX06-6363-2161
hp@okumura-tanaka-law.com
 奥村徹(大阪弁護士会)の弁護士業務と研究活動(不正アクセス禁止法・児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(周辺の青少年健全育成条例、強制わいせつ罪、強姦罪)、児童福祉法、著作権法、信用毀損、名誉毀損、わいせつ図画公然陳列、電子計算機損壊等業務妨害、その他サイバー犯罪、プロバイダ責任制限法などが中心です。)の一片を御紹介しています。
 休日や遠方の御相談も受け付けます。
 よくある質問はFAQにまとめていますから御一読下さい。
 電話・メールでの問い合わせに対しては、法律相談に至らない範囲で一般論や費用の見積もりを回答していますので(無料)、具体的な事件の御相談や御依頼についてはとりあえず電話かメールでご連絡下さい。電話は事務員が応答します。メールは弁護士が随時チェックしています。

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2008-04-24

[][]3項製造罪(姿態とらせて製造)の事案は、1/2がハメ撮りで、1/2が写メを送信させるパターンでした(横浜地裁

 写メ送信させる型は、各罪の守備範囲に当てはめると、

  被害児童に2項製造罪(特定少数)+1項提供罪(特定少数)

  送らせた方は、それの共犯(共同正犯)・間接正犯

になると思うんですが、どうして3項製造罪なんですか?

 写メ型って、被害児童には指一本触れてないのに、実刑というのもあります。会わない分、犯人も楽なので件数が多くなるんですね。

[][]親族間の児童淫行罪(児童虐待・性的虐待)は実刑横浜家裁

 h18だけでみると、全部実刑ですね。

 実子は当然、養女も妻の連れ子も、全部実刑

 5年前まで遡ると執行猶予もあったんですが。

 だから弁護人執行猶予の可能性を示唆したら間違いです。


[][]インターネットサイトで知り合った100人近い女の子とメールのやりとりをして、そのうちの10人近くに 対しおなじような行為をおこなった・・・

 ネット外だと大変な労力なんでしょうが、ネットだと可能になるんですよね。プロフメールでターゲットを絞れるし、アドレスさえたくさん集めれば同報できますから、確率の低さはカバーできるんですね。

http://www.nhk.or.jp/kochi/lnews/01.html

23日の初公判で、被告は、「間違いありません」と述べて、起訴事実を全面的に認めました。続いて検察側は、 被告インターネットサイトで知り合った100人近い女の子とメールのやりとりをして、そのうちの10人近くに 対しおなじような行為をおこなったと話していることなどを明らかにしました。

これに対し、弁護側は被告が発言する場を与えて欲しいと要望して認められ、被告は、「教育を学ぶ身で ありながら相手のことを考えず、自分の欲をみたすためだけに安易に行動してしまい、本当に申し訳ありません でした」と謝罪しました。

強姦事件では、被害者側の落ち度について、幅広く主張されますが、子ども携帯電話についてはどうでしょう?


[]製造罪・所持罪・提供罪の罪数(大阪高裁h20.4.17)

 ばらして併合罪だということです。

判決

判示第1の1 H22.6.24 提供罪

判示第1の2 H22.10.1 所持罪

判示第2   H21.1.1 製造罪

(法令の適用)

罰条

判示第1 包括して児童買春児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項前段、5項前段、2条3項3号

判示第2 児童買春児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条5項前段、4項前段、2条3項

併合罪加重 懲役刑について刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重)

大阪高裁h20.4.17

(4)所論は,原判示第2の児童ポルノ提供目的製造罪,同第1の2の児童ポルノ提供目的所持罪,同第1の1の児童ポルノ提供罪は牽連犯である,というのである。

しかしながら,前述の児童ポルノ法の立法趣旨,保護法益等に照らすと,同法が児童ポルノ等の製造,所持,提供の各行為を並列的に禁圧する規定を置いているのは,児童ポルノ等が児童の権利を侵害するなど,社会に極めて重大かつ深刻な害悪を流す特質を有するところから,その害悪の流布を防止するため,製造,所持,提供の行為如何を問わず,あらゆる角度から児童ポルノ等に関する行為を列挙してこれらを処罰の対象とする趣旨と解される。したがって,その製造,所持,提供の各行為は,別個独立の行為として,それぞれ1罪として処罰されるべきであり,しかも,これらの犯罪の通常の形態として,その性質上,必然的な手段又は当然の結果という関係にあるなどともいえないから,これらの犯罪を連続して犯したとしても,所論がいうような牽連犯ではなく,併合罪になるものと解すべきである。

 なお,同第1の1の児童ポルノ提供罪と同第1の2の児童ポルノ提供目的所持罪とは,刑法45条前段の併合罪として処理すべきであるのに,両罪を包括一罪として処理した原判決には法令適用の誤りがあるが,これを正当に処理した場合と比較すると,他罪との併合罪という関係もあって,懲役刑の処断刑の範囲は同一であり,罰金刑の合算額に一応は差異を生じることになるが,最終的に,罰金額の点を含め刑の量定が不当であるとまでは認められないことなどに照らすと,その法令適用の誤りは,判決に影響することが明らかであるなどとはいえない。


[][]匿名通報:立件4件 情報料申し出なし−−警察庁、半年まとめ

 端緒に飢えているわけだから、これは、4件だけというより、「4件余計に立件して、2人余計に保護できた」という風に評価しましょう。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080424dde041040052000c.html

匿名通報:立件4件 情報料申し出なし−−警察庁、半年まとめ

 警察庁は24日、女性人身売買児童買春などの犯罪情報を匿名で受け付ける「匿名通報ダイヤル」の受理状況をまとめた。昨年10月〜今年3月末の半年間で計307件の情報が寄せられ、これを基に警察風営法違反事件など4件を立件、容疑者12人を逮捕書類送検。18歳未満の女性2人を保護した。

 寄せられた情報の内訳は▽児童買春など少年の福祉を害する犯罪に関する情報141件▽人身売買などに関する情報51件▽その他の情報115件。被害者保護したり容疑者逮捕につながった場合は情報料(上限10万円)が支払われるが、提供者から情報料を受け取りたいとの申し出がないため、支払われていないという。

 「通報ダイヤル」はフリーダイヤルで0120・924・839。受付時間は月〜金曜日の午前9時半〜午後6時15分。


[]犯罪収益取得事実仮装罪と前提犯罪の成否、前提犯罪との前後関係(大阪高裁h20.4.17)

 前提犯罪が既遂になることは要件になるけれども、時系列的に先行する必要はないという判断です。

 「前提」というからおかしいんですよね。

大阪高裁h20.4.17

所論は、原判決は、原判示第3の犯罪収益取得事実仮装罪の成立を認めて追徴しているが、「犯罪収益」中の「犯罪行為により得た財産」というためには、当該犯罪行為が当該財産取得行為に先行していなければならないことは明らかであるところ、同判示の児童ポルノは、代金前払いで提供されたものであり、代金入金の時点においては、いまだ同児童ポルノの提供に着手されていないから、同判示の入金は「犯罪収益」に該当せず、犯罪収益取得事実仮装罪は成立せず、これを追徴するのは憲法29条1項に達反する、というのである。

 しかしながら、前記の立法趣旨や、通常想定される本罪関係の取引形態等に照らして合目的的に考察すると、「犯罪行為により得た財産」は、当該犯罪行為が成立する場合において、その構成要件に該当する行為自体と結び付いて犯人が取得した財産をいい、当該犯罪行為の成立時期と当該財産を得た時期との前後関係を問わないものと解すべきであるから、所論指摘の児童ポルノ提供の前払い代金も、後の機会に当該児童ポルノ提供罪が成立する限り、「犯罪行為により得た財産」として、「犯罪収益」に該当し、これを取得したことを仮装すれば、犯罪収益取得事実仮装罪が成立するというべきであり、そのような犯罪収益を追徴することが憲法29条1項に違反しないことも明らかである。


[][]撮影型準強制わいせつ罪(千葉地裁

 軽犯罪法違反を認めると、犯意の点で厳しくなりますね。

 最近、医療従事者が正当業務行為を仮装したわいせつ行為で検挙されるのが散見されますが、こんなことになるのだから、「診療行為として撮影しますよ」と一筆取るなり、看護師の立会を求めるとか、しないとだめですね。

http://mainichi.jp/area/chiba/news/20080424ddlk12040283000c.html

病院わいせつ医師無罪を主張 トイレ盗撮は認める−−地裁公判 /千葉

 勤務先の病院の婦人科診察室やトイレ患者女性下半身デジタルカメラで撮影したなどとして、準強制わいせつ罪と軽犯罪法違反罪に問われた婦人科医(50)の初公判が23日、千葉地裁大野勝則裁判官)であった。被告起訴事実について、「必要な診療で正当な行為だった」などと、準強制わいせつ罪について無罪を主張。院内のトイレで盗撮したとする軽犯罪法違反については認めた。

 起訴状によると、被告は06年7月と07年4月の2回、勤務していた船橋市内の病院の婦人科診察室などで、20〜30歳代の患者女性の服を脱がせて、デジタルカメラで撮影するなどわいせつな行為をした。

 検察側は冒頭陳述で「被告は約40人分の患者女性の画像と電子カルテを自宅パソコンハードディスクなどに保存していた」などと指摘した。



[][]青少年条例違反と3項製造罪(姿態とらせて製造)の関係

 大阪府条例の解説では「わいせつ行為」に撮影を含むそうです。刑法176からもそういえそうです。

 「わいせつ行為」して「性行為」に進むと、包括一罪になるでしょうから、児童ポルノ製造罪を立てるとしても、青少年条例違反の性行為とは混合的包括一罪にすべきではないか。観念的競合といってもいいような気がします。

 もっとも、条例と重複するということで、児童ポルノ法のみ適用されるという考え方もあります。

大阪府青少年健全育成条例

(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)

第二十八条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。

一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

三 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。

四 青少年売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

 東京都条例は「性交又は性交類似行為」に限定しているので、奥村説では製造罪とは併合罪。

 もっとも、東京高裁H17.12.26とか札幌高裁H19.3.8は、児童淫行罪(性交又は性交類似行為)と製造罪は観念的競合というので、青少年条例違反の「性交又は性交類似行為」とも観念的競合か?

東京都青少年健全な育成に関する条例

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)

第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

 条例の規定を調べないで法律作った人の責任ですね。

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