【ベルリンIPS=ジュリオ・ゴドイ、4月17日】 ドイツ政府は(来年度の実施を計画していた)新たなバイオ燃料計画を中止するという大きな決断を下した。 バイオ燃料には『燃料』としての効果は見られないと判断し、バイオ燃料の使用車両を増やす計画を断念、さらにガソリンに添加するバイオエタノールの比率を現在の5%から2倍の10%にするという決定も覆した。 『ドイツ自動車工業会(VDA)』は当初、新バイオ燃料で走行不可能な車の数は37万5,000台と試算していたが、実は300万台以上に上ることが判明。これを受けドイツ政府は同計画を撤回すると発表した。 環境問題の専門家は「バイオ燃料は温室効果ガスを削減するどころか、環境全体に悪影響をもたらす」とし、政府の判断を概ね支持した。しかし、自動車の燃料以外にもまだまだ多くの懸念が残されている。 ハイデルベルク大学『Institute for Environmental and Energy Research』のGuido Reinhardt氏は、油やしや大豆、ナタネといった(バイオディーゼルの原料となる)植物を栽培する際に使用される大量の殺虫剤や肥料、熱帯雨林の破壊の問題などを指摘した。 さらに、Reinhardt氏は「バイオマス(再生可能な生物由来の有機資源で化石資源を除いたもの。木材・畜産・食品廃棄物など:IPSJ)の利用を推進するべきだ。これならトウモロコシなど穀物生産の妨げにならない」とIPSとの取材に応じて語った。 すでにバイオ燃料生産がもたらす食糧問題は世界各地で起こっている。エジプト、メキシコ、ハイチ、ボリビア、ウズベキスタンでは近年、農作物の価格急騰が、深刻な食料不足を引き起こし、暴動が起きている。 バイオ燃料導入の是非をめぐる専門家の諸意見を報告する。(原文へ) 翻訳/サマリー=松本宏美(Diplomatt)/IPS Japan武原真一 IPS関連ヘッドラインサマリー: ブラジル、バイオ燃料推進をめぐる懸念に反発 EU:必要エネルギーの10%をバイオ燃料に |
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