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焼死とは生体が火災の中で種々の有害作用により死にいたったものをいう。
「焼死体」とは一般的には火災現場等で発見された死体の総称であるが,法医学的には「焼死」した死体を焼死体と呼ぶべきであり,そうでないもの,すなわち別の死因で死亡した後に焼けた死体は焼損死体などというべきとする立場もある。
火災現場から「焼けた死体」が発見された場合,
- 被害者は火災発生時に生存していたか否か
- 生存したとして,現場から脱出できなかった/しなかった理由は何か
- 被害者は誰か(個人識別)
- 出火原因は何か,特に人的な関与があるか
を捜査上明らかにする必要があり,法医学的には1と3が特に重要な診断事項である。
「焼死」とは死因を表す総合的概念であり,さまざまな致死的原因が関与し,時に死因が競合する。
不完全燃焼により発生した一酸化炭素を吸入する。
一酸化炭素中毒は焼死を構成する主要な要因であり,また火災時に呼吸をしていたすなわち生存していたことを示す最も有用な所見である。
血中一酸化炭素ヘモグロビン飽和度が50%を超えるような場合は,一酸化炭素中毒を直接死因としてよい。
シアンや塩素などがいわゆる新建材の燃焼により発生し,これが吸入される。死因への
関与が問題となることは比較的少ない。
焼身自殺など,身体に直接着火している場合などでは熱傷が死因に少なからず関与していると考えられる。
燃焼により酸素が消費されることによる酸素欠乏は,家屋火災においては生命維持に与える影響は小さいと
考えられる(酸素が欠乏すればそもそも鎮火する)。
一方焼身などの際に炎に包まれることにより吸気中の酸素が欠乏することは,死に
関与すると考えられている。
所見として焼損死体一般に認められる外部所見(多くは生活反応ではない)と焼死体の死体所見(生活反応)といえるものがある。
皮膚は炭化し,裂け,あるいは焼失する。床などに接している部位では炭化を免れる
ことが多い。顔面では皮膚が焼失し骨が露出(骨顔貌)する。また上・下肢はしばしば
遊離・脱落する。熱傷でいえば4度熱傷に相当する。
家屋の火災では胸腹部臓器が完全に焼失することはまれであるが,車両火災
では焼損が極めて高度なことがあり,これらがしばしば焼失する。
骨格筋の熱凝固により筋は収縮し,屈筋群の筋量が多いため上・下肢の諸関節は屈曲し,時に骨折をともなう。死因とは関係がない。
各組織は熱により収縮傾向にあるが,一方でガス・水蒸気により膨張し,腹壁が破裂し
時に腸管が脱出する。これも死因とは無関係である。
炭化を免れた部分では紅斑・水疱形成といった1・2度熱傷(→p.
)がみられ,これらは生活反応であるといわれる。ただし実際には死後にも紅斑は生じ,小さいものであれば水疱も生じうることはよく知られている。また死後の焼疱(皮下の水分等が気化し膨張して生ずる。生活反応ではない)との鑑別も必要である。大きな水疱を除けば,診断的価値は必ずしも高くないといわざるを得ない。
吸入された煤が口腔,鼻腔内にあり,さらに気管・気管支壁をコートする。火災発生時に生存していたことを示す重要な所見である。ただし,この所見がなくとも,死後焼却で
あるとはいえない。熱により上気道の粘膜は発赤さらには白濁する。煤は消化管内にも
認められることがある。
一酸化炭素ヘモグロビンの色調であり,臓器も鮮紅色調を呈する。ただし一酸化炭素ヘモグロビン飽和度の定量は必須である。
硬膜が熱により収縮し,骨との間に生じた空間に血液が貯留し,熱せられて生ずる。生活反応ではない。レンガ色で脆く,蜂窩状を呈することもある。外傷性硬膜外血腫との鑑別が重要であるが,必ずしも困難ではない。
焼損のため指紋が採取できない場合,もっとも有力な個人識別の方法は歯の所見の比較によるものである。これは歯が硬組織の中でももっとも熱に強いからである。
場合によっては歯を含めた頭蓋骨のX線写真の比較により個人識別がなされる。
対照資料がある場合はDNA型検査が有用である。
熱傷(thermal injuries)とは高温・高熱の作用による傷害の総称である。火傷(burn)は火炎,高温の個体等が熱源であり,湯傷(scald)は液体・水蒸気が熱源である。
熱湯による湯傷は事故によるものが多いが,子ども虐待(→p.
)を疑うべきサインでもある。
12.1.5.1 熱傷の分類
熱傷はその程度により以下のように分類されている。
- 1度:
- 紅斑性熱傷。皮膚の静脈の拡張・充血が見られる。
いわゆる日焼けもこれに含まれる。落屑を生じて治癒する。
- 2度:
- 水疱性熱傷。血管透過性亢進により赤色調の紅斑が形成される。浅層熱傷と深層熱傷とに細分され,前者は顆粒細胞層および角化層の傷害を認め,瘢痕を残さず治癒する。後者では傷害は表皮から基底膜に達し,時に瘢痕を残す。
- 3度:
- 壊死性熱傷。表皮・真皮の凝固壊死および付属器(汗腺,毛嚢)の傷害を伴う。熱傷部位は褐色ないし黒褐色を呈し,焼痂(eschar)を形成する。治癒しても
瘢痕を残す。
- 4度:
- 傷害が皮下軟部組織におよび,組織が炭化したもの。
熱傷範囲の推算式にはWallaceの9の法則等がある。詳細は救急医学等の成書を参照されたい。
一般に成人においては3度熱傷が体表の1/3を占めれば致死的とされている。
実際には,年齢,受傷部位,基礎疾患の有無などが重傷度に影響し,小児では危険が大きい。重症度の判定基準としてはさまざまなものが提唱されているが,その一つであるSchmartsのburn indexは次式により算出され,15以上を重傷としている。
Burn index = 3度熱傷面積(%) + 0.5× 2度熱傷面積(%)
受傷後短時間で死亡する場合は1次性ショックの可能性が考えられるが,これは比較的まれである。その後血管透過性亢進により熱傷性(二次性)ショックに陥る。これはhypovolemic shockがその本態である(早期死)。また,高熱の蒸気を吸入した場合は,気道の熱傷を生じ,成人呼吸急迫症候群を生じたり,あるいは広範な浮腫による肺胞低換気に陥る。これを脱した後は,感染による敗血症,急性腎不全,消化管出血(Curling's ulcer)などにより死亡することがある。
高温環境下での障害を熱中症と呼び,体温上昇を伴わない熱痙攣(heat cramp),熱虚脱(heat exhaustion)と,体温上昇を伴う熱射病(heat stroke)とに分類するのが一般的である。
作業や運動による多量の発汗の際に水のみを補給した場合などに,低Na血症が生じ
骨格筋の興奮性が上昇して,有痛性の筋攣縮を起こす。
激しい運動や作業の最中,あるいは直射日光下にある場合,体温調節のため末梢血管
が拡張し,相対的な有効循環血液量が減少する。
また発汗により血漿量自体も減少するため,循環不全を生じ,意識障害などを生ずる。休息により軽快する。
体温調節機能の限界を超えて高温環境にさらされると,体温は著明に上昇し,高体温による各臓器の障害が生じ,ついには多臓器不全に陥り死に至る。熱射病は予後が不良なので,充分な予防処置が必要である。労災事故や,学校行事などが社会医学的には以前より注目されていたが,近年幼児を車内に放置して,熱射病で死亡させてしまう例があり,子ども虐待の一類型(セーフティ・ネグレクト,p.
)として社会的に問題視されている。
特異的所見には乏しいが,直腸温が高く,死後変化の進行は速い。急死の所見,脳浮腫,血液濃縮などが見られる。
体熱の放散が熱産生を上回り,体温調節機能の限界を超えると,体温は低下し全身の機能障害に陥る(凍沍)。それがさらに進行して死に至った場合を凍死(寒冷死)という。凍死は冬山などの厳寒状況下でのみ起こるものではなく,街の中でもしばしば見られ,また虐待や放置(→p.
)といった故意による例もまれではない。すなわち単に環境温が低いことが凍死の発生条件ではなく,さまざまな個体・環境要因が作用する。
- 低気温:気温が低いほど凍死しやすい。最低気温が10℃以下であれば他の条件によっては危険である。沖縄県においても凍死例が報告されているし,北東北・北海道では夏期を除いては凍死が起こりうると考えるのが無難である。
- 大気の流れ:風速が速い場合や風通しがいい場所では熱の放散が促進される。
- 着衣等:薄着であれば凍死しやすい。コンクリートなど熱を奪う物質に接触している場合もリスクは増大する。
- 湿潤環境:身体・着衣・周囲の構造物が濡れている場合は熱の放散が促進される。
- 年齢:高齢者・小児,また病人は凍死しやすい。寒冷に対する不慣れもリスクファクターとして無視できない。
- 空腹・低栄養:熱産生が減少するため。
- 疲労:体温調節機能の障害を生じやすい。
- 飲酒:偶発的に生ずる凍死においては,飲酒による酩酊がもっとも重大な原因といってよい。これは血管拡張による熱放散の促進,体温調節機能の障害というだけでなく,酩酊に伴う行動(屋外で寝込む,水たまりで転倒して濡れる等)が凍死のリスクを増大させるからである。
- 頭部外傷:意識障害等が誘因となる。
- 虐待:小児・高齢者等において,放置され遺棄された場合。ネグレクトの死因として無視できない。
- 体温が35℃以下になると,戦慄や代謝亢進に
より熱産生を高め,皮膚血管収縮により熱放散を
抑制することにより,体温低下を阻止しようとする。
- 失調期(33℃前後):感覚障害や運動機能の障害が起こる。
- 麻痺期:32〜33℃から自律神経系の麻痺が始まり機能が低下し,
32℃以下になると戦慄は止まり,意識障害,感覚鈍麻,幻覚等の中枢神経障害が見られるようになる。
- 虚脱期(30℃前後):意識は失われ,心房細動などの不整脈が出現する。
- 生命臨界点は26〜30℃。
寒冷死に特異的な所見は少なく,多くは死体が低環境温下にあったことを示す所見である。
直腸温は死亡直後においても低い。
低温下でヘモグロビンと酸素の結合が強く,また酸素消費も減少しているため酸素ヘモグロビン濃度が高いのを反映している。
膝蓋部・肘頭周囲等
に鮮赤色斑が見られることがある。血流のうっ滞による。
凍死者は時に着衣を脱いだ状態で発見される。これはアドレナリン酸化物の幻覚作用によるとも,体温調節中枢の麻痺による異常代謝によるとも説明されている。また狭い空間に潜り込んだ状態(タンスの中や火のついていない掘りゴタツの中など)で発見され,捜査員を困惑させることがある。これも終末期の異常行動によるもので,hide-and-die syndromeと呼ばれる。
血液の色調が左心系では鮮赤色,右心系では暗赤色を呈する。
酸素消費が抑制され,また左心系血液は肺で低温の空気と触れるため酸素とヘモグロビンの結合力が強まるためである。
心臓血は流動性であるが,摘出後室温に放置すると凝固する。
胃粘膜に多発性の
出血斑・潰瘍が見られることがある。著明な所見
であるが,寒冷曝露時間がある程度長くないと
生じないともいわれる。
生前の寒冷曝露による利尿および多くの場合飲酒が影響している。
凍沍の初期には副腎皮質ホルモンやアドレナリンの作用および代謝障害により高血糖となる。その後低血糖に陥る例もあるので凍死体の血糖値は一様ではない。
凍死例でしばしば認められる。
比較的まれであるが,顕著な出血を見ることがある。腸腰筋は体幹の熱供給源
であり,寒冷曝露時には酸素需要が増大するが血流のうっ滞により供給がとどこおり,それが出血の原因になるという説明がなされている。
凍死に特異的な死体所見はほとんどないことから凍死の診断の際には,死因たりうる他の創傷・疾病等がないことを確認し,上記の所見の有無および発見状況や死亡時の諸条件を考慮して行う必要がある。特に冠動脈疾患等の心疾患のある場合,寒冷曝露そのものが疾患の急性増悪をうながすことがあることに留意しなければならない。
寒冷曝露による局所(特に上下肢末梢など)の病変には凍瘡(chilbrain)・凍傷(frost bite)などがある。
いわゆる「しもやけ」で,低温・湿潤環境下で発生する
氷点下の環境下で組織が凍結し,さらに融解した後に生ずる炎症性・壊死性変化であり,熱傷と同様その深達度により第1〜3度に分類される。
法医学的問題を有する症例においてこれらが死因に直結することは,二次感染をひき起こさない限りほとんどありえないが,子ども虐待(ネグレクト)あるいは保護遺棄の所見として注意すべき場合がある。
生命維持に必要な栄養の摂取が停止ないし
不足した状態を飢餓といい,その結果体内の
エネルギー源を消耗して死に至ることを
飢餓死という。
摂取栄養の絶対的不足により,高度な羸痩を生じる。浮腫は下肢に限局する。
栄養摂取のインバランス(いわゆる栄養失調)などから蛋白質が熱源として動員されるために生じる。低蛋白血症により全身に浮腫・腔水症を生ずる。
皮下脂肪はほとんどなく,筋も委縮し,脳以外の各臓器の重量も減少する。当然体重減少も著しい。
異化の亢進による。
現在のわが国では飢餓死は少ないが,数十年前までは深刻な問題であった。現在でも地球全体としてみれば,死因の上位を占めるものの一つといえ,将来的にも解決のめどが立っているとはいえない。一方法医学的問題として論ずるのであれば,乳幼児,高齢者,障害者などに対する虐待(ネグレクト)のサインとして注意が必要である。単に飢餓死とするだけでなく,基礎疾患が飢餓に与えた影響,あるいは飢餓が誘因の一つとなって発症した疾患の評価も重要である。
工業用・家庭用電力による死亡は比較的まれであるが,事故・自殺例で時に見られる。
感電による死亡に関しては,死体のみならず現場あるいは装置等の状況の調査が重要である。
- 交流(圧倒的に多い)
- ・
- 100V:家庭用
- ・
- 200V:業務用(家庭用)
- ・
- 400V: 小口電力
- ・
- 3,000-6,000V:小口高圧
- ・
- 20,000-270,000:特殊高圧(power transmission system)
- 直流
- 蓄電池など
- 交流電流に比して人体に対する危険度は低い。
- 直流24V の蓄電池を電源として数時間通電することにより死亡した例が
報告されている。
家庭用・業務用電力など400V以下の電流による感電を低電圧感電,3000V以上の工業用電力による感電を高電圧感電と呼ぶ。低電圧感電においては電気回路に直接触れることにより感電するが,高電圧感電では回路に接近するだけで人体に向かって放電されるので,必ずしも接触する必要はない。10万Vでは35cmの距離まで接近すれば放電が起こるとされる。
- 50Hz(東日本)または 60Hz(西日本)。
交流 40-150 Hz がもっとも人体に有害であるとされる。
- 50,000 Hz以上の高周波は感電という側面からは一応安全と考えられており,熱的感覚を覚える。
- 感知電流(perception current):
- 体内に通電されていることを感じる最低限の電流量。皮膚で60Hz交流1mA,直流5mA。
舌尖では45
A。
- 離脱電流(let-go current):
- 随意運動が可能な限界電流。これを超えると筋の痙攣などにより,電源から逃避しようとしても離脱できなくなる。その結果通電時間が延長して重篤な状態となる。60Hz交流で10〜15mA,直流では50〜75mA。
- 心室細動電流:
- 心臓に通電された際に心室細動を惹起し,致死的たりうる電流量。交流60Hzで
50-80mA×数秒,あるいは100mA×1秒以上。
2Aを超える大電流が流れた場合は即座に心停止が起こるが,ただちに電流が遮断されれば,洞調律に復帰するという。
- 人体内部の電気抵抗は100〜200
cm
と著しく低く,人体の抵抗は実質的に皮膚の抵抗に規定される。
- 乾燥した皮膚:数10〜数100K
/cm
- 濡れた皮膚数100〜1000
/cm
。
- 人体電気抵抗は負荷された電圧が高いと小さく,通電時間が長くなるにつれ低下する。
人体の障害の程度にもっとも影響する因子であり,長いほど危険である。
また通電時間は発熱量を規定するので,電流斑の形成などの局所の器質障害の程度にも
影響を与える。
接触面の面積が広いほど抵抗は小さくなる。また接触部位とアースは体内を流れる電流の方向を規定する。電流は抵抗の小さいルートに多く流れるのでアースされやすい状態にあると危険である。濡れた床面上や雨天での屋外作業では危険が増大し,
また,着衣等の金属を通じてアースされる場合もある。
感電という事態は回路に異常がなければ発生しない
と考えることもできる。その原因として
- 電気的欠陥:ショート,接地不良, ブレーカーの異常
- 人的問題:取扱上のミス
- 環境的欠陥:水濡れ
等が考えられる。
着衣等の介在物の有無により感電による障害の程度が異なる。介在物は抵抗を規定し,
人体の電気流入部をある程度規定する。
電気流入部・接地部により規定される。電流が心・脳幹部を通ると危険である。
電流の流入部・流出部に生ずる熱傷。ジュール熱によって生じる。
- ジュールの法則:Q(cal)=0.24I
RT
(I: 電流量(A), R: 抵抗値(
), T: 通電時間)
にしたがい,通電時間に比例し,接触面が狭く,皮膚の抵抗が大きい時に生ずる(風呂の中で感電すれば生じない)。
- 必ずしも生活反応とはいえないが,電流が作用したことを占める特徴的所見である。
- 典型的には電極(接触物)の形状を反映した炭化部分(paterned injury)とその周囲を取り巻く蒼白な部分,さらにその周囲の紅斑部からなる。
- 組織学的には熱により生じた気泡による角化層内の空胞形成と,基底層・顆粒層の細胞核が延長し柵状に配列するのが認められる。この柵状配列はかつて
は電気的作用によるものと考えられていたが,現在では熱作用等による非特異的所見と
されている。
電流斑の表面・内部に電極端子の金属が熔解して付着・沈着することがある。
放電やジュール熱により生ずる熱傷。高電圧感電では必発である。
高電圧感電の際に時に見られる樹枝状の赤褐色変色。細血管の麻痺による紅斑で数時間で消失する。
- 内部所見としては諸臓器うっ血などの急死の所見のみで,特異的所見に乏しいことが多い。
- 感電事故では,感電後の墜落などによる非電気的損傷を合併することがある。
- 低電圧感電では心に通電されることによる心室細動,脳に通電されることによる中枢障害による呼吸麻痺が死を引き起こす。
- 高電圧感電では心停止,場合によっては熱の影響により死に至る。
- 感電自体は致死的でなくとも墜落などの二次的損傷で死亡することがある。
落雷の際には数千万ボルト,数十万アンペアの直流電流が流れる。これが人体を直撃し,あるいは,被雷撃物に触れていたり,被雷撃物からの放電を受けることにより死亡することを落雷死という。心停止や熱傷が死因となる。法医学的問題を生ずることは稀であるが,電気的エネルギーのみならず機械的エネルギーによる損傷も生ずるので,交通事故損傷との鑑別を要することもある。
所見としては熱傷,電紋のほか,頭蓋骨骨折・臓器損傷等が見られる。
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aoki
2007年5月9日