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琵琶湖:北湖から南湖へ流出のリン、1/3に 窒素は半減--06~07年冬 /滋賀

 ◇東大研究所シミュレーション

 06~07年冬に琵琶湖北湖(琵琶湖大橋以北)から南湖に運ばれたリンが3分の1に減り、窒素も半減した可能性があることが、東大生産技術研究所の北澤大輔准教授(海洋生態系工学)らのシミュレーションで判明した。研究者からは、暖冬で水の循環が不十分になり、富栄養化につながるリンなどの蓄積が進むとの指摘もある。今回は実際の気象データを基に、リンなどの動きの変化をとらえた試算で、湖への温暖化の悪影響を解明する上で注目されそうだ。【服部正法】

 ◇「水質悪化の恐れ」

 北湖は最大水深が104メートルと深く、毎年1~2月ごろ、酸素を多く含み、冷えて重くなった表層の水が沈み、深層の溶存酸素を回復する「全循環」が行われる。

 しかし、彦根地方気象台によると、06年12月~07年2月の同県彦根市の平均気温は平年より1・7度高く、1895年の統計以来最高を記録。このため、06~07年の冬は全循環が3月下旬までずれ込み、湖底付近の酸素濃度の回復期間が短かったことが県の観測で判明した。07年10月には、深層の酸素濃度が史上最低水準になったことも観測した。

 北澤さんらは気象データなどを用い、05年3月~昨年9月の湖水の流速、水温、密度、栄養塩、溶存酸素などの変化を琵琶湖全体でシミュレーション。その結果、県の観測結果と計算結果が一致する傾向を示し、正確さが裏付けられた。そこで、プランクトンの栄養になる形態の無機態リンと無機態窒素が南湖へ運ばれる量も計算。リンは06年1月は1日約0・7トンあったのに07年1月は約0・2トンに、窒素も同期間で約17トンから約9トンに激減した。

 北澤さんは「リンなどが滞留して蓄積が進めば、アオコの発生や水質悪化などのリスクが高まる」と指摘している。

毎日新聞 2008年4月23日 地方版

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