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【記者コラム:越中春秋】

潤んだ瞳

2007年6月29日

 死刑廃止を主張する団体の会合の取材で、講師の安田好弘弁護士と言葉を交わした。海のように潤んだ瞳を、大きく開いて話す人だと思った。

 安田氏は広島高裁で開かれた山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審で被告の元少年の主任弁護人を務める。

 検察側はこれまで少年を殺人罪に問い、死刑を求刑してきた。しかし安田氏らは「傷害致死にあたる」と元少年の殺意を認めていない。

 事件について報道されるのは一部だけ。報道だけで「極悪非道の犯人をかばう弁護団」と非難するのはおかしい。

 けれど、遺族を前に「ドラえもんが何とかしてくれる」などと話した元少年のことが、全く理解できない。

 元少年を死刑台から救うためには、仮に真実を解明できずともいいのか。あの潤んだ瞳に問いたい。 (林啓太)

 

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