増える病院の未収金

 未払いの治療費や入院料など、病院の経営に大きな影響を与えている未収金が増加傾向にあることが、厚生労働省の調べで分かった。2006年度末現在の一施設当たりの未収金は約4,790万円で、前年度末から約95万円増加。損金処理をした金額(不良債権)は約297万円で、前年度末から約26万円増えている。

【関連記事】
診療所の未収金、産科と外科に多く (2008/01/22) 
国立病院の未収金「生活困窮」が大半 (2007/08/08) 
未収金の最終的な負担者は誰? (2007/08/06)
未収金検討会が初会合、「発生原因究明を」 (2007/06/04)

 厚労省は4月24日、「医療機関の未収金問題に関する検討会」(座長・岩村正彦東大法学部教授)の第5回会合を開き、これまでの意見をまとめた「議論の整理(案)」とともに、未収金対策を検討するための基礎資料として、「未収金に関するアンケート調査結果の概要(速報値)」を示した。

 アンケート調査は、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)のいずれかに加盟している病院を対象に実施。2,844病院に調査票を送り、755病院から回答を得た。回答した病院の平均病床数は271.5床で、全国平均の181.9床をかなり上回っており、200床以上の病院が過半数(50.5%)を占めている。

 調査結果によると、一施設当たりの未収金は04年度末が約4,559万円、05年度末約4,695万円、06年度末約4,790万円と年々増加。損金処理をした金額も、04年度末約259万円、05年度末約271万円、06年度末約297万円と増加傾向にある。

 未収金が発生する理由としては、明確な理由を特定しない「その他」が38.0%で最も多かった。以下は、「分納中・分納交渉中」21.1%、「生活困窮で支払い能力がない」14.3%、「支払い方法未決定」8.2%、「支払い能力はあるが、支払う意思がない」5.5%、「診療に対し不満があり、払いたくない」0.7%の順。厚労省の担当者は「診療への不満による未払いは、検討会での指摘とは異なり、意外と少なかった」と話している。

 一方、回収のための努力として、「電話催促」(97.3%)と「手紙などの文書催告」(95.8%)はほとんどの医療機関が実施しているが、「個別訪問」は53.2%、「内容証明郵便」は42.5%だった。「支払督促」(9.3%)や「少額訴訟」(4.6%)など法的手段による回収努力は少なかった。
 回収に取り組む体制については、「医事課職員が行う」93.2%、「対策チームを設置」9.6%、「専任職員を配置」9.4%、「特に何もしていない」0.9%、「その他」11.1%となっている。

 回収の工夫は、「未収金患者リスト作成」87.1%、高額療養費や出産育児一時金の代理受け取りなどの「制度説明」82.4%、「未収金マニュアル作成」52.4%、「クレジットカード対応」39.9%だった。


更新:2008/04/24 13:16     キャリアブレイン

このニュースをメールで送る

ご自身のお名前:


送信元メールアドレス(ご自身):


送信先メールアドレス(相手先):


すべての項目にご記入の上、送信ボタンをクリックしてください。

ようこそゲストさん

※無料会員登録をしていただくと、すべての記事がご覧いただけます。

医療ニュース動画

08/01/25配信

高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子

医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。