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事業失敗の穴埋めか PCI特別背任事件
大手建設コンサルタント会社「PCI」の特別背任事件で、荒木民生容疑者(71)が社長を務め、不正支出先となったグループ会社「パシフィックプログラムマネージメント」(PPM)が平成16〜17年、不動産事業などをめぐってトラブルを抱え、「解決金」や「活動費」の名目で1億円以上を支出していたことが24日、関係者の話で分かった。東京地検特捜部は、荒木容疑者がPCIから不正に得た資金を、こうした支出の穴埋めに使っていた可能性が高いとみて、資金の流れを調べている。
荒木容疑者らは16〜17年、中国の遺棄化学兵器処理事業をめぐり、PCIからPPMに不要な事業委託費約1億2000万円を不正支出させ、PCIに損害を与えた疑いが持たれている。
関係者によると、PPMは同時期、沖縄・石垣島のホテル建設をめぐって地元業者らとトラブルになり、16年4月に約5000万円、6月に約4000万円を「解決金」として支出した。いずれも都内の弁護士口座に振り込まれた後、手数料を差し引いた残額が荒木容疑者の知人に渡っていたが、実際に「解決金」として使われたかどうかは分かっていないという。
また、PPMは同10月と17年1月にも、都内の再開発事業を受注するための「活動費」として、計約4000万円を支出していたが、受注は失敗に終わったという。
これらの支出により、PPMは16年9月期の決算で預金残高が2000万円程度に落ち込み、深刻な資金難に陥ったという。
PCIの不正支出でPPMが得た資金約1億2000万円は、同年9月から入金が始まっており、特捜部は事業失敗が犯行の動機となった可能性があるとみて、調べを進めている。