|
産科医不足で妊婦が死産
|
|
二〇〇七年八月二九日、体調不良を訴えた奈良県橿原市の妊婦の受け入れ病院探しが難航し、たらい回しの末、死産するという悲劇が起こった。救急隊は一二の病院に延べ一六回の要請を繰り返した。しかし、三度の要請を断った奈良県立医科大学附属病院をはじめ、地元の病院は「急患の妊婦の処置中で対応できない」「一般の救急をしていない」「別の分娩があり対応できない」「初めての患者は受け入れていない」「産婦人科は救急対応していない」といった理由で診療拒否。その結果、「たらい回し死産」の悲劇を生み、産科医不足という産科医療体制のもろさを改めて浮き彫りにすることになった。
|
|
医師不足がなぜ起きたか
|
|
〇七年七月二日付読売新聞の全国世論調査によれば、自分の居住地域で医師不足を感じたことがある人は、全体の三一%にも上った。その原因を何だと思うかという質問に対する回答では、上位から順に、「便利な都市部に住みたいと思う医師が多いから」四〇・二%、次いで「仕事が忙しすぎるから」三八・九%、「医師を確保するための国や自治体の対策が不十分だから」三七・七%。 一方、政府与党は「医師不足は医師の数が足りないのではなく、偏在が問題」と説明しているが、医師不足問題の背景には、八〇年代以降の政府与党の医療費抑制政策が影を落とし、医療現場からは「政治の無責任」を糾弾する声が噴出し始めている。
|
|