中国での遺棄化学兵器処理事業に捜査のメスです。国内最大手の建設コンサルタント会社の歴代社長ら4人が、東京地検特捜部に逮捕されました。容疑は、国から受注した事業費のうちおよそ1億2000万円を不正に流用した特別背任。その首謀者とされた元社長の単独インタビューです。
23日午前、都内のホテルで東京地検特捜部の任意同行に応じたPCI=パシフィック コンサルタンツ インターナショナルの元社長、森田祥太容疑者(66)。PCIは、世界各地で大規模開発プロジェクトを手がける、日本最大規模の建設コンサルタント会社。23日、その歴代のトップが特別背任の疑いで逮捕されたのです。
森田容疑者の他に逮捕されたのは、前の社長の多賀正義容疑者(62)、そして、関連会社の元役員・福田義隆容疑者(60)。その中でも、事件を「主導」していたとされるのは元社長・荒木民生容疑者(71)です。逮捕前、荒木元社長は、JNNの単独インタビューに応じました。
「完全に事実誤認。濡れ衣」(PCI元社長、荒木民生 容疑者)
中国各地に遺棄された旧日本軍の化学兵器。調査、発掘にはこれまでに日本の国家予算およそ600億円が投じられています。この事業を独占的に受注していたのがPCIでした。
調べによりますと、逮捕された4人は2004年から翌年にかけ、PCIの関連会社が兵器処理事業を受注した際、当時、荒木容疑者が社長を務めていた別の会社に業務を架空発注。こうした手口でおよそ1億2000万円を流用した疑いが持たれています。
PCIの中で、「化学兵器処理事業」は『宝の山』と呼ばれていたといいます。
「90年代後半から公共事業は右肩下がりに。99年に処理事業が始まったが、事業総額は800億円と言われていた。今では総額8000億円から1兆円とも。大変巨額な事業で、10数年続く、まさに『宝の山』」(PCI関係者)
グループの事実上のトップだった荒木容疑者は、容疑を全面的に否定していました。
「1億円の流用とは、私が個人で流用したということ? 遺棄化学兵器処理事業はパシコン全体としても大切なプロジェクト。経営会議のメンバーですから、話が出たことは何回もある。ただ不当に圧力をかけ、(自分の会社に)発注させたという話は全然違う」(PCI元社長、荒木民生 容疑者)
巨大な国家プロジェクトをめぐる不正な資金の流れ。特捜部は、他にも不正がなかったか、荒木容疑者らを追及する方針です。(23日17:54)