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社説2 地味だが大切な日欧の関係(4/24)

 毎年一度開いている日本と欧州連合(EU)の首脳協議の重みが増してきた。福田康夫首相は欧州委員会のバローゾ委員長、EU議長国であるスロベニアのヤンシャ首相と会談し、気候変動や食糧価格の高騰など地球規模の問題に、日欧が協調して取り組む意志を確認した。

 会談後に発表した共同声明の内容は多岐にわたる。連携を強めようとする意欲が日欧双方からにじむ首脳会談となった点を評価したい。

 日欧の協調は時代の要請である。EUは米国並みの経済規模を持つ巨大な共同体となった。製品規格、企業会計などでは、国際標準を決める主導権をEUが握っている。

 米国が圧倒的な影響力を持つ世界の一極構造が終わりつつある。日本にとって米国との同盟関係の重要性に変わりはないが、これまで以上にEUとも対話を深め、政治、経済の両面で連携を強める必要がある。

 首脳協議の大きな成果は、中国など新興国の台頭に対し、自由と民主主義など共通の価値観を確認できた点だろう。日本が心配している欧州から中国への武器輸出の解禁について、日本側は改めて慎重な対応を求めた。EU側は異を唱えなかった。

 背景には欧州が中国を見る目が、急速かつ確実に変化したことがある。もちろんチベット問題がきっかけである。あえて声明に記されなかったこうした分野にも注目したい。

 共同声明は特に東アジアと中央アジア地域の重要性に言及した。日欧間の「戦略的対話」の枠組みを通して、これらの地域の安定で協調して行動する方向を確認した。ミャンマーの民主化、スリランカの人権問題、アフガニスタンへの支援での協力も明記した。世界秩序を維持するために、日欧が責任を共有するとの認識が深まった。その意味も重い。

 最大の議題だった気候変動問題では、温暖化ガスの削減目標の設定や方法について、なお隔たりがあるものの、率直な意見を交わした。

 日・EU首脳協議には、日米や日中の首脳会談の派手さはない。だが新興国の台頭など世界の構造変化に伴い、共通の価値を持つ友人の重要性は高まっている。日欧のきずなを太くし、自由貿易協定(FTA)など実のある連携につなげたい。

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