ついに「国民投票法案」が表舞台に姿を現わした。憲法改正に道を開くとされる国民投票法案は、昨年からの協議で与野党の差が縮まり、状況によっては今国会で成立する見通しであるという。 この法律ができると、戦後60年以上、一度も改正されることのなかった日本国憲法を改正するのに必要な手続きが定められることになる。改憲派にとっては絶対に突破しなければならない第一関門だ。 護憲派にとって、これは危険極まりない法律である。断固阻止といいたいところだが、護憲派の対応は必ずしも一様ではない。国民投票そのものは実施すべきで、そのための法律は作るべきだという考え方もあるからだ。 より問題なのは、法案の中身だろう。国民投票の投票者は20歳以上とするのか、それとも18歳以上か。投票直前の意見広告、テレビCMなどをどこまで認めるのか。記入は○×式か、そうではないのか。 こうした技術的な論点のほかに、さらに本質的な問題もある。それは、憲法改正という重要な議論を、国会や政党だけに任せてよいのかということだ。いまの法案は、国民的な議論が政党間の議論に置き換えられ、広報や宣伝、CMなども肝心なところは政党や国会しか関われないとの批判がある。これは、憲法についての論議という、言論表現の自由がもっとも求められているところで、その自由が制限されているということを意味するのだろうか。 国民投票法案について、さまざまな論者に尋ねてみた。 |
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