倉敷育ちの私にとって、小豆島は近くて遠い存在でした。「いつでも行ける」という思いもあり、岡山から一度も渡ったことがありませんでした。そこに小豆島が管内の高松支社へ赴任。着任からやや年月がたちましたが、今月からオリーブ栽培開始百周年の記念祭が始まったのを機に訪れることにしました。
高松港から土庄港まではフェリーで約一時間。船内で販売している“フェリーうどん”は、海を見ながらの味もまた格別です。島内には「オリーブ百年祭」をPRするのぼりが林立し、イベント気分を盛り上げていました。寒霞渓や銚子渓、小豆島オリーブ公園、二十四の瞳映画村…と島の南半分にある主な観光スポットを巡る駆け足のドライブでしたが、小豆島の観光名所の多さを実感。そして店などでの島の人とのやりとりに、高松にはない、のんびりとした雰囲気や「島」のコミュニティーを垣間見たような気がしました。
ところが、よく考えてみると高松がある四国も「島」。日本だってそうです。それが今、四国は本四架橋によって本州とは陸続き。日本自体も航空機や情報インフラなどの発達で人やモノ、情報が大量に行き来してグローバル化が急速に進み、昔のような「島」とは言えない状況です。
最近、通り魔など殺伐とした事件が相次いでいます。そこには、グローバル化が「島」のコミュニティー破壊につながり、人の心を変えてしまったことも関係あるのでは、と今回のドライブで考えてしまいました。小豆島に残る「島」のよさ。これからも大切にしてほしいと思っています。
(高松支社・安原勇)