〔決算みどころ〕民生電機3社の09年3月期、デジタル製品拡大で1ドル95円なら増益も

2008年 04月 23日 15:49 JST
 
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<2008年3月期会社予想とロイターエスティメーツによる2009年3月期予想>

                             営業利益/単位:億円

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           | 08年3月期見通し|09年3月期予想 | アナリスト人数 |

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松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート) |    4770|  5279|      18| 

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ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)    |    4100|    4236|       18| 

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シャープ(6753.T: 株価, ニュース, レポート)   |     1900|    2097|       20|

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 [東京 23日 ロイター] 松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート)、ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)、シャープ

(6753.T: 株価, ニュース, レポート)の大手民生電機3社の2009年3月期の業績見通しは、為替相場が年度を通じ

て収益動向をどの程度左右するのか、米国を中心としたマクロ経済の悪化が家電製品の売

れ行きにどう影響するかなどが焦点となる。クレディ・スイス証券アナリストの田端航也

氏は、デジタル製品の市場拡大が続く点などを挙げ、「1ドル=95円でも何とか増益を

維持できる」との見方を示した。大手民生電機3社の2008年3月期の決算発表は25

日から始まる。

 

 田端氏は、2009年3月期の想定為替レートを1ドル=105円、1ユーロ=155

円とした。同氏の試算では、1ドル=95円となった場合、営業利益段階でソニーで

10%分、松下で6%分のマイナス影響があるとみる。為替動向のほか、米国を中心とし

た世界経済の悪化懸念も取り沙汰されるが、田端氏は、家電製品の場合、製品の買い替え

サイクルが順調に回転していることを強調。「ブラウン管テレビから薄型テレビへのシフ

ト、デジタルカメラでは一眼レフタイプの成長などである程度、売り上げの減少に歯止め

がかかる」との見方を示した。ノートパソコンが世界で好調なこと、規格争いが決着した

次世代DVD「プルーレイ・ディスク」機器(プレーヤー、レコーダー)の拡大が見込め

ることも好材料といえる。

 

 <ソニー、液晶テレビとゲームが黒字化の公算>

 

 ソニーは、液晶テレビ事業とゲーム事業が黒字化するかどうかが注目点。ゲーム事業で

は、「プレイステーション(PS)3」のコスト削減が順調に進むとみる市場関係者は多

い。ただ、同事業の黒字化については、「可能性は高まっている。(携帯機)プレイステ

ーション・ポータブルが再成長している点に注目している」(田端氏)との見方に対して

みずほ証券アナリストの張谷幸一氏はリポートで「赤字幅は08年3月期に比べ

1000億円縮小すると予測する」としているが、同事業の赤字は残るとの見方を示す。

任天堂(7974.OS: 株価, ニュース, レポート)の「Wii」など他のゲーム機への対抗や普及加速の狙いでPS3の値

下げに踏み切れば、赤字脱却が遅れる可能性もある。

 

 液晶テレビ事業について、JPモルガン証券アナリストの和泉美治氏は、ロイターの取

材に対し、09年3月期には黒字化する可能性が高いとの見方を示した。08年3月期に

需給がひっ迫したテレビ向け液晶パネルは、今年中には需給が緩和するとの見方が強まっ

ており、「利益はパネルメーカーから(ソニーのような)テレビメーカーにシフトしてい

く」(和泉氏)との理由だ。

 

 <松下、社名変更を好機にできるか>

 

 田端氏は松下について、「AV(音響・映像)、白物家電、デバイス、その他・FA

(ファクトリー・オートメーション)の4つの事業で底堅く稼いでいる。個別商品の下振

れが全体にあまり影響しなくなった」と評価する。一方、ゴールドマン・サックス証券ア

ナリスト、藤森裕司氏はリポートで、主力のプラズマテレビは足元の売り上げの勢いが強

いことなどから、「業績の大きな崩れを懸念する必要はない」としながらも、「円高デメ

リットやデバイス事業の受注悪化、液晶パネル子会社の連結化などリスクは高まっている

印象」との見方を示した。

 

 プラズマテレビは、世界的にみると液晶テレビに比べ成長ペースが鈍化しており、松下

が成長を維持するにはプラズマ陣営の中でのシェア拡大が必要といえる。10月1日に

「パナソニック」に社名変更するが、国内外でどう認知度を高め、ブランド力強化につな

げていくかも重要な課題。海外で白物家電を拡大していく戦略に期待は高いが、最近の資

源・素材高を背景に「材料コストの上昇圧力は予想以上に強まっている」(藤森氏)こと

は懸念材料になりそうだ。

 

 

 <シャープはデバイス外販強化カギに>

 

 シャープは2010年3月までの稼動を目指し、大阪・堺に世界最大の液晶パネル工場

を建設中。堺工場は、「シャープが競争力を回復する上での重要なファクターになる」

(田端氏)とみられるが、稼動前年に当たる09年3月期は液晶パネルの外部販売で稼ぐ

「デバイスメーカー」としての色合いが強くなりそう。地球温暖化防止の機運が高まる

中、液晶に次ぐ柱として育成中の太陽電池をどの程度伸ばせるかも注目だ。昨年は原料の

ポリシリコンの調達が不調で、太陽電池事業拡大の機会を大きく逃した。

 シャープは現在、ポリシリコンの使用量を大幅に削減できる「薄膜型太陽電池」に注

力。葛城工場(奈良県葛城市)の増強のほか、堺・液晶工場に隣接して薄膜太陽電池工場

を立ち上げる。みずほ証券の張谷氏はリポートで、太陽電池事業について、「テレビ用液

晶パネル外販とともに、中長期的な収益拡大要因として期待される」とコメントした。

 
 

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