〔決算みどころ〕自動車7社の09年3月期、3つの逆風で増益はスズキ<7269.T>だけ

2008年 04月 23日 15:49 JST
 
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<2008年3月期会社予想とロイターエスティメーツによる2009年3月期予想>

                           営業利益/単位:億円

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           | 08年3月期予想 | 09年3月期予想 | アナリスト人数 |

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トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート) |    23000|   20111|      20| 

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ホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)    |    9200|    7242|       20| 

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日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)  |     8000|    6593|       20| 

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スズキ(7269.T: 株価, ニュース, レポート)    |    1450|    1463|       19| 

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マツダ(7261.T: 株価, ニュース, レポート)    |     1600|    1347|       17|

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三菱自動車(7211.T: 株価, ニュース, レポート)  |     800|     597|       10| 

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富士重工業(7270.T: 株価, ニュース, レポート)  |      400|     283|       13| 

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 [東京 23日 ロイター] 自動車7社の2009年3月期は、円高と北米市場の低

迷、原材料高という3つの逆風が吹き荒れ、ほぼ全社で営業減益が予想される。かろうじ

て増益を確保できそうなのは新興市場を主戦場とするスズキ(7269.T: 株価, ニュース, レポート)のみ。トヨタ自動車

(7203.T: 株価, ニュース, レポート)(ダイハツ工業(7262.T: 株価, ニュース, レポート)と日野自動車(7205.T: 株価, ニュース, レポート)含む>をはじめ、2ケタパーセン

トの減益になるメーカーが続出しそうだ。

 

 ロイターがまとめた主要アナリストの予測平均値(ロイターエスティメーツ)によると

09年3月期の7社の営業利益合計は3兆7636億円。企業側の08年3月期予想の

合計値と比べ、約16%の減益になる。とりわけインパクトが大きいのは円高。ドル/円

レートを105円で想定すると、7社合計で7000億円、100円では1兆2000億

円ほど営業利益を押し下げる。

   

 最大市場の北米の低迷も深刻で、年間の総需要は前年実績の1610万台を大きく割り

込む可能性が高い。米調査会社JDパワー・アンド・アソシエイツは1495万台を予想

している。米政府による景気対策の効果で年後半から持ち直すとの声もあるが、日興シ

ティグループ証券のマネジングディレクター・松島憲之氏はリポートで「現時点で楽観的

になる根拠は乏しい」と指摘する。

 

 鋼材価格の上昇も懸念材料。鉄鋼各社はこれまで、自動車業界に対してトン当たり2万

円の値上げを要求してきたが、ここへきて上げ幅を上積みする可能性が出てきた。UBS

証券のシニアアナリスト・吉田達生氏は「今期は3つの逆風で軒並み2─3割の減益にな

るのは当たり前。あとは原材料の価格次第でさらにマイナス要因が出てくるかもしれな

い」と話す。

 

 <トヨタ(7203.T: 株価, ニュース, レポート)、注目はお家芸の原価低減>

 

 新たに取り組んでいる原価改善活動でどこまで原材料高を吸収できるかが注目点の一つ。

効果は今年2月に発売した新型「クラウン」から出はじめている。昨年末に工場を稼動

したロシアなど、新興市場での拡販も減益幅を最小限に抑えるためのカギとなる。

 

 <ホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)、供給能力不足で販売伸びず>

 

 小型車「フィット」など北米に投入する新車4モデルは販売好調が予想されるが、世界

的に供給能力が不足しており、今年度は総販売台数の伸びは期待できそうにない。

 

 <日産(7201.T: 株価, ニュース, レポート)、同時に中計を発表>

 

 新車販売は堅調に推移するとみられるが、収益を左右するのは既存車の売れ行き。販売

経費が増加して、利益を圧迫する可能性がある。決算と同時に発表する中期経営計画、特

に「株価を支えている魅力的な配当に対する今後の方針が注目される」(UBS証券の吉

田氏)。

 

 <スズキ(7269.T: 株価, ニュース, レポート)、増益確保できる希少な銘柄>

 

 北米市場や円高の影響を受けにくく「増益の可能性がある希少な銘柄」(UBS証券の

吉田氏)。ハンガリーなど国内外で順次取り組んでいる生産能力の増強も収益に貢献しそ

うだ。

 

 <マツダ(7261.T: 株価, ニュース, レポート)、「マツダ6」の販売動向が注目>

 

 日本国内で生産した車両の7割を輸出するため、為替変動の影響を受けやすい。07年

から日欧で順次発売した「マツダ6」(日本名・アテンザ)と、今年投入する北米向け

「マツダ6」がどこまで健闘するかが注目点。

 

 <三菱自動車(7211.T: 株価, ニュース, レポート)、優先株の処理が焦点>

 

 稼ぎ頭のロシアで競争力を維持できるかがカギ。優先株の処理も焦点の1つ。

 <富士重工(7270.T: 株価, ニュース, レポート)、四半期ベースでは赤字も> 

 

 投入間もない「インプレッサ」と「フォレスター」が収益に貢献するものの、「為替次

第では四半期ベースで営業赤字になる可能性もある」(外資系証券アナリスト)。

 
 

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