子ども「塾より大変だった」 学力調査、昨年より難しく2008年04月23日01時47分 小学6年と中学3年を対象として22日に行われた文部科学省の全国学力調査が、大きな混乱はなく終わった。各地の学校現場や研究者は「昨年より難しい」。子どもたちからも「塾のテストより大変だった」の声が聞かれた。
文科省によると、4道県の計5校で、インフルエンザなどによる学級・学年閉鎖があり実施されなかったが、大きなトラブルはなかったという。修学旅行の日程の関係などで22日に実施しなかった学校もあるが、5月9日までに実施すれば採点対象となる。 結果の発表は昨年度は10月にずれ込んだが、文科省は「今年は2学期からの指導に間に合うように早めたい」としている。 ■校長ら、厳しい結果予想 「答えの字数が塾のテストより多く、大変だった。答えが出る理由なんて聞かれたことがなかった」。名古屋市立明倫小の女子の感想だ。同市立昭和橋中の森希花梨(きらり)さんも話す。「範囲が決まっている学校の中間、期末テストより難しく感じた」 各地の小中学校長も「厳しい結果が出るのでは」と話す。「特に活用を問うB問題は答えを導き出す工夫や知恵を身につけていないと、全く手が出ない」と北海道根室地方の小学校長。 今回は、昨年の調査で成績のふるわなかった自治体を中心に、準備を重ねる動きが広まっていた。沖縄県沖縄市の市立小は、今回テストを受ける子どもに昨年の問題を解かせ、教師も解いて調査に臨んだ。16日からの家庭訪問の期間中も、担任以外の教師がその日家庭訪問のない6年生に、三角形の面積など基本問題の特別授業をしてきた。ある高知市立中も前日の21日、問題に慣れてもらおうと、昨年の数学と国語の問題の一部を解かせた。 負担の重さを訴える声も上がる。都内の区立中学校長は「都や区のテストもあり、そのたびに授業改善案を求められて大変」と話す。 ■不参加の愛知・犬山、普通に授業 2年連続して全国の自治体で唯一調査に参加しなかった愛知県犬山市。22日、市立小中学校ではいつも通りの授業が行われ、瀬見井久教育長は「文科省の愚行だ」と、国の姿勢を改めて厳しく批判した。 同市は石田芳弘・前市長の時代に「学びの学校づくり」を掲げた教育改革を開始。07年度の調査は「改革を否定し、子どもや教師、学校間の格差を生じさせる」として参加しなかった。続く今年度調査も2月に不参加を決めた。 06年暮れに就任した田中志典(ゆきのり)市長は参加を求めていたが、3月、混乱を回避するとして不参加を受け入れた。 ■実生活に関連づけ出題 全国学力調査は、知識中心のA問題と、知識の活用を問うB問題に分かれている。問題を作成した国立教育政策研究所は「昨年と出題意図は変わっていない」と説明する。ただ、子どもが関心を持ったり教員が指導で活用したりしやすいよう、実生活に関連づけた形の問題を目指しているといい、A問題でも読解が必要な問題が増えている。 昨年は、算数の平行四辺形の面積を問う問題で、底辺と高さだけが与えられたA問題と複数の条件を提示したB問題とで正答率に大きな差がつき「活用力が十分でない例」とされた。今年の出題でも、算数で割合、数学で一次関数がA、B問題ともに出題されており、知識と活用の正答率の差をさらに分析する。 澤田利夫・東京理科大数学研究所長は「算数、数学のB問題は読み取らなければいけない量が多すぎて、なかなか解答にたどりつかないのではないか」と懸念する。中には、グラフと表が計九つも出てくる問題もあり「ふだんから担当の先生がやらせているかいないかで、学級間でも差がつくだろう」とみる。 府川源一郎・横浜国立大教授は国語について「知識を問うはずのA問題に、活用の力を問うB問題のようなものが散見される」と指摘する。記述問題は「解答にあたっての指示がかなり多く、解答者は形式を整えることに力をさかれる」。昨年、記述問題の採点が混乱したことから「採点のしやすさを優先させているとしたら本末転倒」と話す。 PR情報この記事の関連情報社会
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