2008年1月23日(水)「しんぶん赤旗」
続消費税なぜなぜ問答
社会保障の財源を考える(2)
Q 大企業の応分の負担とは?
社会保障の財源を確保するうえで、大企業に、その負担能力に応じた税負担を求めることが必要です。ところが、財界などは「税が増えたら企業の経営が苦しくなる」といって、これに反対しています。大企業には税負担の能力がないのでしょうか。
図は、財務省の法人企業統計調査のデータをもとにして、資本金十億円以上の大企業(金融・保険業は除く)の経常利益と税負担の推移をグラフにしたものです。これを見ればわかるように、二〇〇六年度の大企業の経常利益は三十二・八兆円と史上最高を更新し、バブル期のピークであった一九九〇年度の十八・八兆円の一・七四倍に達しています。ところが税負担の方は十三・九兆円から十三・七兆円と、ほぼ同水準にとどまっています。
個々の大企業を見ても同様です。たとえば、トヨタ自動車の場合は、〇六年度の経常利益は一兆五千五百五十二億円で、バブル期のピーク(七千三百三十八億円)の二倍以上ですが、税負担は四千七百八十二億円から四千七百四十六億円と、ほとんど横ばいです。
この主な原因は、三つあります。一つは、この間に法人税の税率が大幅に引き下げられたことです。八〇年代には最高で40―43・3%だった法人税率が、九〇年度には37・5%、九八年度には34・5%、九九年度以降は30%となりました。トヨタ自動車の場合、税率引き下げによる減税効果は約二千億円です。
二つめは、〇二年度からの連結納税制度の導入、〇三年度に大幅に拡充された研究開発減税など、新たな大企業減税が追加されたことです。研究開発減税は、トヨタ一社だけでも七百六十億円(〇六年度)です。
三つめは、大企業が多国籍企業化や企業再編を行う中で、以前からあった配当益金不算入制度や外国税額控除制度などの大企業優遇税制の効果が大きくなっていることです。海外展開している企業ほど減税効果は大きく、トヨタの場合だと九百億円程度になると推計されます。
日本共産党の試算では、法人税の税率をバブル期の九〇年度の税率である37・5%に戻せば、地方税分も含めて、大企業だけで約四兆円の増税になります。研究開発減税などの優遇税制を廃止・縮小すれば、さらに一兆―二兆円の増税になりますが、あわせても五兆―六兆円程度です。バブル期に比べて十五兆円も経常利益が増えているのですから、その一部を税にあてるということにすぎず、けっして無理な負担を求めているわけではありません。(つづく)
(写真)東京モーターショーでのトヨタ自動車のブース=07年10月25日、千葉・幕張メッセ |
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