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【主張】中国の軍備増強 日本の防衛力は大丈夫か

2008.3.7 03:38
このニュースのトピックス主張

 「中国の軍備増強は東アジアの軍事バランスを変え、戦略能力はアジア太平洋地域を超えつつある」。これは米国防総省がまとめた2008年版の「中国の軍事力」報告書の一節だ。

 こうした懸念を裏付けるのが5日発表された中国の国防費だ。20年連続で2けたの伸び率となる前年度比17・7%増の約4099億元(約5兆9600億円)を計上した。

 日本の防衛費4兆7426億円を抜き、アジア1位だ。しかも中国の国防費には装備購入費や研究開発費は含まれておらず、米国防総省の報告書は公表額の3倍と分析している。実質的な国防費は世界2位と推定される。   温家宝首相は「脅威に対する軍隊の対処能力と任務の完遂能力を高める」と語ったが、急激な軍事力近代化への懸念は払拭(ふっしょく)されない。一昨年発表された中国国防白書も主要装備調達計画などの記述がなく、透明性を欠いている。意図的といわざるを得ない。

 米報告書は軍備増強の背景について台湾海峡有事に加え、領土や資源をめぐる紛争に備えていると警告している。地域内外の平和と安定への脅威になるということだ。中国は説明責任を果たさなくてはなるまい。

 問題は日本の防衛力整備である。防衛費は1997年度の4兆9414億円を頂点にほぼ毎年、減り続けている。08年度は前年度比0・8%減だ。

 基本的には財政再建路線のためだ。効率化・合理化を図りながら実効性ある防衛力の構築に努めたが、現実の防衛力は縮小を余儀なくされている。

 04年末に閣議決定された5年間の防衛力整備を定めた防衛大綱によると、陸自の編成定数は前大綱時の16万人が15万5000人、約900両の戦車が約600両、海自の護衛艦約50隻は47隻、空自の約300機の戦闘機は約260機に減らされる。

 この結果、彼我の差はほとんどなくなっている。主力戦闘機のF15に対抗できる中国の第4世代戦闘機が三百数十機に達しているのは一例だ。

 では日本はどうするか。日米安保体制を強化することで地域の軍事バランスを取るべきだろう。米国が領土紛争に関与しない可能性もあるが、米国との信頼の絆(きずな)をいかに強めるか。日本の存立の基盤はここにかかっている。

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