全国引きこもりKHJ親の会(奥山雅久代表)の会員を対象に毎年行われている調査で、引きこもり状態にある人の平均年齢が初めて30歳を超えたことが分かった。新たに引きこもりとなる若年層がいる一方で、長期間にわたり引きこもりから抜け出せない30~40代の層が確実に増えている実態が浮き彫りになった。
境泉洋・徳島大学准教授らが、会員を対象に07年11月~08年1月、記入方式でアンケートし、331人の回答を分析した。
それによると、引きこもり本人の平均年齢は30.12歳で、男女別では男性30.35歳、女性は28.87歳。最年少は13歳、最年長は52歳で、引きこもり期間は平均8.95年、最長は25年だった。
同会の会員を対象とする調査は02年から毎年行われており、平均年齢は02年が26.6歳、前回調査の06年は29.6歳で、上昇を続けている。親の高齢化も進んでいる。平均年齢は父親が63.23歳、母親が58.28歳だった。
「家族から見て引きこもり本人が要望している支援は何か」という問いでは、「経済的支援」が最も多く50%以上で、「カウンセリング」や「医師の診断」を上回った。自由記入欄には、「安心して死ねる体制を整えてほしい」「社会保障制度を確立してほしい」など自身の死後を不安視する声が目立った。
奥山代表は「本人と親の不安が家庭の破たんにつながり、親殺しや心中、自殺などの最悪な事態が出始めている。何らかのセーフティネットがあれば、安心感にもつながる」と訴えている。
同会では、ファックス(048・758・5705)で相談を受け付けている。【市川明代】
毎日新聞 2008年4月10日 15時00分(最終更新 4月10日 15時28分)