滋賀、大阪、京都の3府県知事が3日、大阪市内で、国交省近畿地方整備局の「淀川水系流域委員会」から淀川水系河川整備計画原案の審議状況を聞いた意見聴取会。各知事は大戸川ダム(大津市)の建設に否定的な宮本博司委員長と推進方針の同局の双方から意見を聴き、治水効果や建設コストをただした。
出席したのは、嘉田由紀子知事、橋下徹・大阪府知事、山田啓二・京都府知事。
嘉田知事は「そもそも利水も含め多目的ダムとして計画され、滋賀県では水没予定地の集落が移転するという犠牲を払った。利水が消え、何を犠牲にしたのかという思いだ」と苦言。さらに、05年に同局が同ダムの凍結を打ち出した際、「治水単独では事業費が増加し、経済的に不利になる」と説明したとし、「今になって(治水単独ダムが)経済的に有効という理由は何なのか」と疑問を呈した。
一方、原案では、異常渇水対策用の水をためる場所を琵琶湖と丹生ダム(余呉町)のどちらが適当かを比べたうえ、(穴あきダムなど)丹生ダムの形式も検討すると記載された。この点、嘉田知事は「渇水対策が緊急か。緊急性についても、ぜひ協議をしてほしい」と注文。「超過洪水に対応するのが知事の役割。(堤防を越える)越水対策に取り組みたい」と語り、宮本委員長に賛同するような発言をした。【服部正法】
毎日新聞 2008年4月4日 地方版