BLUE　HEART　

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＜はじめに＞

かつて俺は東京で暴れ回っていた。

真面目な学生が参考書を片手にしているのを横目にしながら、

俺には「強いこと」が何よりも尊いことに思えて、

相手を力づくでねじふせてでも、

自分を貫き通すことだけに命をかけていた。

それが本当の男であり、

本物の男子であることに、

俺は何の疑いも持っていなかった。

あの頃は俺だけではなく、

多くの男達が真剣であったんだ。

「強さ」というものに。

その中で、実際に命を落とした者さえいたし、

もしくは命を奪ってしまう者さえもいた。

そうした暴力の世界の中で俺は、

「仁に当たりては師にも譲らず」という儒教の言葉にもある様に、

「自分が正しい」と感じたのならば、

たとえ相手が神や仏や天にさあえも逆らって、

自分を貫く覚悟だったのかもしれない。

愚かや無知を通り越して、まさしく哀れである。

つまり俺は「仁に当たれば師にも譲らず」という覚悟でいたのだが、

「仁」というものを何も知らなかったのだ。

今となってはつまらぬことではあるが、

無知ではあるものの、覚悟や腕力だけは人よりあった為に、

俺の悪名はこの東京という街を越えて響き渡っていた。

そして家が豊かで、贅沢な暮らしをしてきたことも手伝って、

金持ちの坊ちゃん特有の我がままさも持ち合わせていた為に、

俺は本当に傲慢な人間そのものだった。

だから人の涙に無知で、平然と誰かを傷つけて俺は生きてきたんだ。

しかしバブルが弾けて、今度は一円玉にも不自由する生活になった。

そして自分の傲慢な人生に嫌気がさして、

沖縄の宮古島で野宿をしていることもあった。

今になって思えば、貧しさの中のどんぞこの中で、

自分の無知さや傲慢さが仇となって、

完全に人生が行き詰っていたんだ。

そして「人間の本当の幸せとは何だろう？」と、

そんなことを真剣に、真剣にこれまで考えてきた。

なぜなら俺は、贅沢な暮らしをして傲慢に、無知に生きている時には、

自分が幸せだとは少しも感じなかったからだ。

いや、むしろ、

貧しさの中で自分の無知さに気がついて、

あらゆることを学び始め、自分の傲慢な天狗の鼻が折れて、

人に優しく成れた時の方が遥かに満たされた感覚があった。

そうして色々なことを経験し、

色々なことを学んできたおかげで分かったことがある。

そして今では見事に人生を１８０度転換することができて、

貧しくはあるが、妻と二人で幸せに暮らしている。

今の俺に初めて出会う人は、

他県にまで悪名を轟かせていたことに気づくことはない。

しかし、これまでの傲慢で無知な人生のせめての罪滅ぼしと考えて、

「仁」というものを伝えて生きていきたいと、

俺はそう本気で想っている。

このブログは俺の魂の叫びだ。

身も命も惜しまずに、その叫びを届けたい。

なぜなら自らの人生に少し足りとも、俺は後悔を遺したくはないからだ。