更新:4月23日 11:30インターネット:最新ニュース
リニューアルで新たな成長軌道に乗った「価格.com」・ウェブ開発物語
2007年10月にカカクコムは、価格比較サイト「価格.com」のトップページを大幅リニューアルした。パソコンの価格比較からスタートして、次々と扱い商品を拡大してきた価格.comだが、商品ジャンルをさらに追加することによるトップページ拡張は限界にきていた。アクセス減のリスクもある大幅な整理を断行し、今後の事業拡大にも対応できる体制作りに成功した。(敬称略) ■「価格.com」とカカクコム リニューアルに先立つこと1年前の06年10月、その伏線となるプロジェクトがカカクコムでスタートした。社内での呼び名は「ブランドプロジェクト」だ。当時、ブランドマーケティング部長だった結城晋吾(現プロダクト本部ショッピングメディア部長)が呼びかけて始まった。
主要事業である価格.comと同じ、カカクコムという会社名を使っていたが、「4.travel.jp」や「yoyaQ.com」などのサイトを買収によって傘下に入れたり「食べログ.com」など別ブランドのサイトを新事業として開始したりとカカクコムは様々なサイトを運営していた。 こうした事業拡大に合わせて人員が増えていき、創業当初からいる社員が相対的に減ったことで「価格.com自体がどうあるべきかという意識が曖昧になっていた」とブランドプロジェクトに参加したプロダクト本部メディアクリエイティブ部マネージャーの丸山理は話す。カカクコム創業者の槙野光昭氏は「ネギ一本まで一番安い価格が見つかるサイト」という目標を掲げていたが、02年には退任しており、そのビジョンが薄まっている部分もあった。それを見つめ直すのがブランドプロジェクトの目的だった。 06年10月から社内の各部の部長を中心に10人程度が集まって、価格.comのあり方について議論した。開始は通常業務が終わる19時から。乾き物とジュースを口にしながら、遅い時間まで議論を尽くした。 半年後の07年3月にブランドプロジェクトは価格.comの新しいコンセプトを決めた。それが「買ってよかったをすべてのひとに。」だ。パソコンやデジタルカメラなどのいわゆる「デジモノ」好きの人たちだけでなく、より広い対象の人たちにも買い物の参考にしてもらうことを目指す方向性を明らかにした。価格.comの事業は、広告や成果報酬など企業からの収入で成り立っているが、一般ユーザーの使いやすさを優先して行くという意味もそこには込められた。 ■リニューアルプロジェクト開始
ブランドプロジェクトが終わるとすぐに、トップページのリニューアルプロジェクトが始まった。プロダクト本部メディアクリエイティブ部長の鎌田剛が全体のリーダー、プロダクト本部ショッピングメディア部長の結城がサブリーダー、丸山がデザインの担当となり、会社全体を巻き込んだ一大プロジェクトとなった。 リニューアルのコンセプトはもちろんブランドプロジェクトで決めた「買ってよかったをすべてのひとに。」だ。 リニューアル前の価格.comは、パソコン関連、カメラ関連、中古カメラなどの製品ジャンルごとにカテゴリーが用意されていた。事業を次々と拡大していったなかで、トップページに入り口があるカテゴリーは75にもなっていた。そのジャンルの分け方は製品やサービスによってまちまちで、ユーザーにとって目的のものを見つけにくくなっていた。 あまりにも多いカテゴリーの中から必要とする情報を見つけることができず、トップページに来てすぐに別のサイトに行ってしまうことがサイトのアクセスログ分析からわかっていた。また、パソコンやカメラなどのいわゆる「デジモノ」以外のカテゴリーでは、せっかくの情報が埋没状態になっていた部分があり、それらをうまく見せられるようにすることでアクセス数を増やしたかった。アクセスを増やしたいけれども、トップページは整理しないといけないという難題である。 ■3カ月延期・社内調整に時間がかかる 当初の計画では、07年4月にプロジェクトを開始して、07年7月にはリニューアルを完了する予定だった。ところが、トップページの整理に関わる社内調整が簡単ではないことがわかった。7月にリニューアルするならは、6月の初めにはネット広告代理店に概要を伝えないといけない。リニューアル時期は3カ月遅れの10月に延期された。 最大の問題は、75あるものをどういうふうに整理して数を減らすかということ。多くのページが、価格.comのトップページからのリンクによるアクセスに依存しており、そこからの流入が細ることを嫌がった。 これまでも2年に1回はトップページをリニューアルしてきた。しかし、それは事業拡大によってリンクの入り口を増やすだけだった。今回のリニューアルのように入り口を減らすのは初めてのことで、リスクは大きかった。 内部調整は結局07年6月一杯までかかり、当初構想の18カテゴリーへの集約から、3つ増えた21カテゴリーに集約することで落ち着いた。リニューアルプロジェクトリーダーの鎌田も「社内調整が最も大変だった」と振り返る。 特に、新しく始めたカテゴリーなどユーザーに認知されていないサービスでは、かなりの部分をトップページからの流入に依存していたからだ。トップページからの直接の入り口がなくなっても、アクセスが減らないようにする工夫が重要だった。 ■カテゴリーを左メニューに移動 ● 関連記事● 関連リンク● 記事一覧
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