身体に重度の障害のある児童を総合的に支援する「県立こども療育センター」(清武町、柳園賜一郎所長)で、常勤医師4人のうち2人が3月末で退職した結果、小児科で常勤が不在となっている。「常勤2人」は県が想定する適正人数より3人少ない。県は補充要員を探しているが、全国的な小児科医不足が影響して確保のめどは立っていない。利用者の親からは「突発事案に対処できるのか」と不安の声が上がっている。
センターには3月まで常勤整形外科医3人、同小児科医1人がいた。しかし、3月末で整形外科医と小児科医が1人ずつ退職した。この結果、常勤は整形外科医2人のみになった。
これに対して、県は非常勤の小児科医2人を招いたが、出勤は1週間に3日のみ。常勤医師の数が減ったこともあり、週末は宮崎大から当直医の派遣を頼んで、医療法上の規定を何とかクリアしている。
センターには、脳性まひや後天性の事故で重度の身体障害を負った子供が通所やショートステイしている。整形外科手術のほか、言語訓練やリハビリを受ける。呼吸器を装着していたり、てんかんや、ぜんそく発作を起こす利用者も珍しくはない。常勤の小児科医師がいれば突発事案にも対応できるが、親からは「4月以降、子供を預けるのは不安」との声が上がっている。
医師1人当たりの負担も増えている。従来は、筋肉の緊張や関節のゆがみの治療が中心だった整形外科医。非常勤小児科医が不在の日は、てんかん発作や体調の変化といった小児科の領域もカバーしなければならなくなった。
県が「センターを運営するのに必要」としている常勤医師数は5人(整形外科医3人、小児科医2人)で、予算上も人件費は確保している。しかし、全国的な小児科医不足で5人が確保できない状態が数年間続いている。県障害福祉課は「4月以降は適正数より3人も少なく非常事態。県内外から探しているが……」と苦渋を隠せない。【種市房子】
毎日新聞 2008年4月23日 地方版