大田市立病院(岡田和悟院長)は7月から、分娩(ぶんべん)を予約制にし、1カ月の受け入れを20件程度に制限する。2人いる産婦人科医師の1人(33)が高度医療技術の習得を求め、6月末で退職。補充の目途が立たず、常勤医が1人体制になるためだ。
同市内では、産婦人科の開業医が1人いたが先月末、高齢を理由に分娩の扱いを取りやめた。このため、邑智郡を含む大田圏域全体で、分娩に対応できる医療機関は市立病院だけになる。昨年度、市立病院での分娩は267件で、開業医では72件。うち、約25%が大田圏域以外からの里帰り出産だった。
市立病院は、7月からの産婦人科医療体制を発表。受け入れ制限移行で、里帰り出産であっても予約なしの分娩は断るケースが生じるとしている。外来の診療時間中でも、院内で分娩があった場合は優先する。
夜間や時間外の診療は継続するが、1人になる常勤医(47)の健康管理のため、できるだけ外来診療時間内の受診を要望。また、島根大学医学部から週1日と月に2回の土日に産婦人科医師が応援で派遣される。岡田院長は「妊娠の自覚があれば、早めにきちんと検診を受け、出産に対応してほしい」と話している。
県医療対策課によると、近年、産婦人科医がいないなどで分娩を取りやめた県内の公的病院は、安来市立病院など5病院。1人体制なのは、公立雲南総合病院など3病院という。【船津健一】
毎日新聞 2008年4月23日 地方版