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ひとインタビュー子宮を失ってからわかった 生きて本当にやりたいこと 第四十三回 洞口依子さん

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笑顔が幸せにつながる

――やはり海の力は大きいですね。復帰映画も沖縄とご縁がありますね

「マクガフィン」というネットシネマで、一般にはささやかでも私には大きな意味のある映画です。この撮影で手術以来感じていた「喪失感」が少し埋まった気がしたんです。子供が欲しいなら養子をもらえば?と言う人もいましたが、それは何か違うと感じていた、その答えが見つかったんです。私はこうして自分の中から生まれるものを表現したいとわかり、自分から積極的に発信しようと思いました。それがウクレレユニットの活動、ブログ、そして本の執筆につながっていくのです。

――大変な時期があったからこそ、見えてきたことはあるのでしょうか

いろんな意味で必要じゃないものが削(そ)ぎ落とされ、本当に必要なものがなんとなくだけど、わかった気がします。例えばブログを発信することで、つらいのは自分だけじゃない、みんなそれぞれいろんな悩みを抱えているんだと知ったことは大きかった。また人との接し方が変わりましたね。どうせ一緒にいるなら楽しい時を過ごしたいと思うようになった。そしてなるべく笑顔でいたいと思うこと。私が笑顔でいると、家族や友人がうれしいといってくれる。病気の間励ましてくれた彼らのためにも、いつも魅力的に笑っていたい。でも心から笑えるようになったのはここ最近です。

だけどやっぱり私は女優

――ご夫婦の関係は、闘病を経て変わりましたか

変わりましたね。病気の時は私が寄りかかり過ぎたり、難しいことがありましたが、今はお互い無理せずに、「個」の時間も大切にするようになりました。彼には心配もかけたし、あたりちらしたり、すごくつらい思いをさせたと思う。特に感謝しているのは、病気の間も彼は私に対し、以前と同じように不謹慎なぐらい明るく接してくれたことです。外では相当つらそうだったようですが。私が「子供が産めなくなったので離婚してください」と彼と彼の両親に話したこともあったけれど、「あなたが生きているだけでうれしい」と言ってくれたのもうれしかったですね。大きな波を二人で乗り越えたことで、「本当はどう思っているの?」とか悩まずに自然に相手をおもんばかれるようになりました。「個」があるから刺激があるし、一緒にいる時間が充実する。今はたとえ世界中が敵になっても彼だけは私の味方だと思えます。

――これからやりたいことは?

今年はウクレレのライブや出版、そのサイン会など、42年間生きてきた中で最も感動的な経験をしています。だけどやっぱり私は女優なんです。いろいろな活動をしながらも、カメラの前で演技して、暗闇の中でおぼろげに輝いている存在でいたいと思います。

(写真)洞口依子さん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

旅行かな。旅が好きで海外もいろいろな所に行っているので……。個別で考えると新婚旅行で行ったスペインのイビサ島。あるいは突発的に出かけた他の旅かもしれない。私の旅はいつも突発的で、それこそ空港でチケットを買う、なんてことをしちゃうので。計画性がないの。ぎりぎりなんですよ、いつも。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

小説家の森茉莉さん。最近、著作を読み返しているので特に印象が強いのかもしれませんが、彼女の身のまわりを埋め尽くすすべての物たちが好きです。彼女の美意識が行き届いている。あと、アタシ自身も結構こだわりが強い生き方をしているかもしれません。

質問3
人生に影響を与えた本は?

子供の頃に読んだケストナーの「動物会議」。動物がたくさん出てきて、挿絵がきれいだったのと、ケストナーの不思議な語り口調に魅かれて。当時の私にはとても難しかったけれど何度読み返したかわかりません。私の著書「子宮会議」もこのタイトルからヒントを得ました。

アンケート 今回のインタビューについて皆様の「声」をお聞かせください。

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