医師派遣で調整役を

 社会保障国民会議の「サービス保障(医療・介護・福祉)分科会」(会長・大森彌東大名誉教授)で4月22日、澤芳樹、堀田聰子両委員が医師と介護分野の人材不足の解消策について意見陳述した。澤委員は、地域や診療科による医師の偏在を解消するため、地域内での人材配置を調整する「コーディネーター」を置くよう提言した。

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 同分科会は、近く開かれる本会議に、この日出された意見を報告。本会議が6月にまとめる中間報告に反映させる。

 澤委員は、2000年から06年までの間に全都道府県で人口当たりの病院勤務医の数が増加する一方、二次医療圏単位では全358圏域のほぼ3分の1に当たる124圏域で、02年から06年にかけて人口当たりの勤務医数が減少している状況を指摘。こうした地域間の偏在が、医師の不足感を強めているとの見方を示した。
 また、新医師臨床研修が04年にスタートして以降、研修病院の指定を受ける施設がない地域では人材確保がさらに困難になるとともに、大学病院が地域の病院に均等に医師を送ることが難しくなっていると強調した。

 澤委員はさらに、「ローリスクやハイリターンの診療科にどうしても人が流れやすくなる」と述べ、外科や産婦人科などでは今後も医師不足が深刻化する可能性を指摘した。その上で、地域や診療科による医師偏在の解消策として、まず地域単位で医師を派遣し、「コーディネーター」が医療圏や診療科ごとに再配分するなどの仕組みを提案。特区制度を活用して具体的なシステムづくりを進めるよう求めた。

 一方、堀田委員は、介護従事者や利用者にとって魅力ある職場づくりが介護分野の離職率の低下につながるとの認識を示し、これを実現できるだけの人事管理の確立と普及を課題に挙げた。


更新:2008/04/22 23:30     キャリアブレイン

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