小6、中3を対象とした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が22日行われ、一部で問題用紙の配送ミスがあったが、大きなトラブルもなく午後2時ごろまでに全調査を終えた。中学校は北海道2校と茨城県1校、小学校は富山と奈良県の各1校が、インフルエンザなどの学級・学年閉鎖で実施できなかった。(18~23面に問題と解答)【加藤隆寛】
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■解説
テレビリポーターの「全然明るい」という発言について書かれたリポートを読み、表現の是非を根拠とともに100字で記述する。中3国語B(活用)での出題だ。
算数・数学でも、何らかの場面を設定し、実生活に結びつけ考えさせる問題が目立った。求められるのは、情報を的確に読み取り、自分の言葉で表現する能力だ。近年、日本の国際順位が低下して話題となった経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の問題とよく似ている。文部科学省は解説書(小6国語)で「PISAの主要能力の考え方、出題の仕方なども参考にした」と明記した。
PISAの成績低下は教育界に少なからぬ衝撃を与え、「ゆとり」から「学力重視」への揺り戻しの一因となった。新学習指導要領でも言語力の育成が重視されており、今回のテストで文科省は、「目指す教育の方向を示した」としている。
学力テストを含めた日本の教育施策は、国際的な視野を持つ人材の育成を視野に入れるべきだ。しかし国際テストの順位を上げることは決して至上命令ではなく、仮に、PISAの模倣や“予行演習”になってしまうことがあるとすれば本末転倒になってしまう。
「競争をあおる目的ではない」と文科省担当者は言う。テストの実効性や全員調査の意義をこれから明示していけるか、真価が問われる。【加藤隆寛】
毎日新聞 2008年4月23日 東京朝刊