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【産経抄】4月23日
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高速列車を走らせ、立派な学校や病院、ホテルまで建てたばかりか、近代的な法制度も導入してやった。なのに現地人は喜ばない。あろうことか騒乱を起こし、楽しみにしている五輪の聖火リレーまでも邪魔しようとする。まったくもってけしからん。
▼と、漢民族の少なからぬ人々は憤慨しているようだ。憤怒の矛先はチベット人に同情を寄せる外国人にも向けられている。マレーシアでは、日本人が聖火リレーの出発点でチベット旗を掲げようとした途端、中国系住民に袋だたきにされそうになった。
▼興奮している中国の人たちに「日本もかつて満州で似たようなことをしましたが、喜んでいただけましたか」と諭しても火に油を注ぐだけだろう。「過去の反省が足りない」と罵倒(ばとう)されるのがオチで、とても歴史を鑑(かがみ)にしてはくれまい。3日後の長野が心配だ。
▼当日は、聖火応援のため留学生や華僑らが2000人を目標に集結するほか、チベット人や中国への抗議行動を起こすと公言している人々も大挙して現地入りする。NHKは危険を感じたのか、走者に決まっていた青山祐子アナを“降板”、男性アナに代走させるが、そこまでして走らせることはない。
▼その点、パリっ子は立派だ。パリ市議会は、中国当局者に悪魔呼ばわりされたダライ・ラマ14世を名誉市民にした。仏資本のスーパーが中国各地でいやがらせを受け、対中貿易に支障が出るのも承知の上での義挙だ。
▼パリのエスプリは健在だったが、江戸っ子はどうか。名誉市民どころか、ほとんどの有力政治家はダライ・ラマと会おうともしない。人権より商売優先なのだろうが、北京の威光がそんなに怖いのか。弱きを助け強きをくじく一心太助が泉下で悔し涙にくれている。