MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース: 事件 犯罪・疑惑事故・災害裁判写真RSS feed

【主張】母子殺害死刑 常識に沿う妥当な判決だ

2008.4.23 02:23
このニュースのトピックス主張

 少年といえども凶悪で残酷な事件を起こせば、厳罰でのぞむという裁判所の強い姿勢がうかがえた。社会の常識に沿った、極めて妥当な判決と受け止めたい。

 犯行当時18歳1カ月の少年に死刑を適用するかどうかで注目されていた山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審で、広島高裁は元少年(現在27歳)に死刑判決を言い渡した。

 差し戻しとなった今回の広島高裁の判決は、被告・弁護側の主張をことごとく退ける厳しい判断を示した。弁護側はこれを不服として再び上告したが、今度は最高裁で確定する可能性が高い。

 事件は9年前に会社員、本村洋さんの妻(当時23歳)と娘(同生後11カ月)の2人が殺害された。殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた元少年は1、2審では殺意を認めた。1審山口地裁は死刑の求刑に対し、被告が18歳の少年だったことや計画性がないなどを考慮、無期懲役の判決を下し、広島高裁もこれを支持した。

 しかし、最高裁第3小法廷は一昨年6月、「量刑ははなはだ不当で、特に考慮すべき事情がない限り死刑を選択するほかない」と、広島高裁に審理のやり直しを命じた。この時点で元少年に死刑の判決が言い渡される可能性が極めて高くなっていた。

 ただ、差し戻し審では全国から集まった計21人の弁護士が「死刑回避」を最大の目標に大弁護団を結成、検察側と全面対決する異例の展開となった。弁護側は法廷で、被告が1、2審で認めた殺意を否定し、事件は傷害致死だと主張するなど、事実関係そのものを争った。

 「何とか被告の元少年を死刑から免れさせたい」とする弁護戦術とみられるが、その主張には無理があり、社会常識では到底理解しがたいものだった。

 差し戻し審は元少年が供述を変遷させたことなどを「不自然で不合理、信用できない」とし、「犯行は冷酷、残虐にして非人間的な所業である。死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情があるとまではいえない」と厳しく糾弾した。2年前の最高裁判決にほぼ沿った判断である。

 今回の差し戻し審判決は、司法の少年事件に対する厳罰化の流れを加速させることになろう。また、来年から始まる裁判員制度の裁判員にも参考となる判断基準を示した意味ある判決といえる。

PR
PR
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。