りんごの花って、めんこいね

りんごの花ってめんこいねキャンペーンを振り返って


森県黒石市のりんご試験場を訪ねた折、係の方から「りんごの剪定枝を暖めてあげれば花が咲きますよ」という話をお聞きしました。りんご生産関係者にしてみれば当たり前のことなのでしょうが、私たちにはとても新鮮な驚きでした。ならば、数メートルもの雪が積もっている季節に、りんごの花を咲かせてみようと思い立ったのです。私たちが花を咲かせるだけではなく、剪定枝をプレゼントして、より多くの方にりんごの花を可愛がってもらおうと夢が膨らみ始めました。きっと、多くの方々が同じ思いを共有してくれるでしょうし、冬という季節に花を咲かせるところが面白い。しかも、春になれば焼却処分される、ゴミ扱いされている剪定枝がめごい、めごい、と可愛がってもらえるのです。

ちかまえていたハードルはかなり高いものでした。私たちは、所詮、りんごに関しては素人。調べていくうちに、自発休眠という厄介な問題(一定の低温期間を経なければ花が咲かない。したがって、1月下旬に花を咲かせるのはとても困難)やら、剪定枝には見栄えのしない花しか付かない等々。

かし、このキャンペーンには予想を遙かに超える反響がありました。りんごの花のイメージ自体は多くの方々が持っています。美空ひばりの歌などで、岩木山の残雪のイメージまで浮かんだ方もおられたことでしょう。このウェブサイトの「北國の果て」というのも「津軽のふるさと」の歌詞から頂戴したものです。もしも、北國への憧れに近いイメージを抱いて戴いたとしたら、こんなにも嬉しいことはありません。が、りんごの花のイメージはあっても、りんごの花を見たことがないというご意見が圧倒的でした。考えてみると、りんごの花は流通していないのです。私たちもこのギャップを見落としていました。

際にりんごの剪定枝を暖めて花を咲かせてみれば、実に可憐な花が咲きました。毎朝のように、剪定枝の蕾に霧を吹きかけてくださった方も多かったと思います。
ちょっと芽が動いただけでも、大騒ぎされた方も多かったことと思います。私もその一人なんです。しかも、季節は冬。りんごの花の白さと青森の雪の白さがオーバーラップしてきます
それだけではなく、りんごの花は青森のスプリング・エフェメラルと呼ばれる一群の花々の姿まで思い起こさせてくれました。福寿草、カタクリ、キクザキイチリンソウ、ニリンソウ、エゾエンゴサクなどなどが鮮やかに脳裏に浮かんできました。
ニリンソウ 山菜のコゴミが葉を開いたところ 桂の赤い花
ハウチワカエデの赤い花 カタクリとエゾエンゴサク イタヤカエデの黄色い花

んごの花の咲く5月初旬、青森は春紅葉と呼ばれる「新緑の一瞬」を迎えます。
萌え出したばかりの木々は、秋の紅葉のように淡い赤や黄を身にまといます。それは新芽の色だったり、花の色だったりします。イタヤカエデの黄色い花、ハウチワカエデや桂の赤い花、それに新緑の萌葱色。これらが広葉樹の山全体をあたかも秋のように彩るのです。

紅葉から新緑の季節を迎え、ムラサキヤシオツツジ、ヤマツツジ、峰桜ワタスゲニッコウキスゲへと季節は移ろいます。そのころ、八甲田山などの山岳部には雪田呼ばれるところに、高山植物がお花畑を形成するのです。ミツバオウレンヒナザクラショウジョウバカマイワカガミチングルマミツガシワ等々。ウグイスやエゾハルゼミ、カッコーの合唱までもが聞こえそうです。 (花について詳しくは匂いたつ自然をご覧ください。)
ムラサキヤシオツツジ ミネザクラ ワタスゲ
ニッコウキスゲ ショウジョウバカマ チングルマ

んごの剪定枝から、このような花々が連想され、多くの方々が青森を訪れてくださるのなら、私たち北國の果てNetの本望です。観光にとどまらず、青森りんごも多くの方々に愛でて戴けることでしょう。来年の冬も「りんごの花って、めんこいね」キャンペーンを行う予定です。また、今回は87通にも及ぶ写真コンテスト応募作品がありました。それぞれ全てが素晴らしく、選考作業も難航を極めましたが、暖かいメッセージの数々に、関係者一同、とても元気づけられました。ありがとうございました。どうぞ、今後とも北國の果てNetをご愛顧戴きますよう、お願い申し上げます。

■ 剪定枝でも立派な花が咲きます ■
  • りんご剪定枝の花は見栄えがしないと言われていましたが、十分に日光に当てて育てれば、りんご園のりんごと遜色ない花が咲くことが判りました。それは花が咲かないのでは?と心配になるほど、葉が勢いよく生い茂ります。で、十分に葉が成長してから、初めて花芽が顔を出し始めるのです。
  • りんご剪定枝の花は、枝に残っている栄養だけで花を咲かせると言われています。
    ですが、日光に当てることで葉が成長し、そこからも花へと栄養が供給されているようです。ですから、剪定枝といえども立派な花が咲くんですね。この事実は青森のりんご生産関係者にとっても驚きであろうと思います。


TOP 写真コンテスト結果へ戻る

webmaster@kitaguninohate.net