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2008年4月23日

 ドラえもんが何とかしてくれる、という不可解な発言まで飛び出した山口・光市の母子殺害事件の裁判だった。幼児の遺体を押し入れに入れた理由を問われて、被告がそう述べた

唐突なドラえもん話は、被告の心が未成熟だった証しである、と弁護団は主張した。押し入れには、さまざまな「ひみつ道具」を駆使するドラえもんの寝床がある。未来からやってきたネコ型ロボットの存在を、当時の被告は信じていたという

きのうの判決は、そんな弁明を不自然、と断じた。その通りである。ドラえもんを信じているなら、そんな話はしない。道具は、ドジな少年たちを助けるために使われるが、悪事に加担することは決してない。道具を犯罪に使うとタイムパトロール隊に捕まってしまう、とドラえもん好きが教えてくれた

子どもたちの人気者をおとしめる言い逃れは、被告の苦し紛れの妄想か。それとも死刑廃止論者で固めた弁護団の生半可な入れ知恵だったのか

弁護団はすぐ、上告した。また最高裁まで付き合わされるドラえもんこそ、いい迷惑。夢のかけらもない、むなしいだけの話である。


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