ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 宮城 > 記事です。

宮城

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

暫定税率:期限切れで県、104事業を執行留保 老人ホーム建設費補助など /宮城

 揮発油(ガソリン)税などの暫定税率期限切れに伴い、執行留保する事業の選定を進めていた県は14日、4月に執行を予定していた427事業(予算総額94億円)のうち、104事業(同14億円)を当分の間留保すると発表した。留保対象には老人ホームの建設費補助や、県立高の修繕費などが含まれており、村井嘉浩知事は「検討に検討を重ねて編成した予算の執行を留保せざるを得ないのは、大変残念」と述べた。【青木純】

 県は道路関連事業費(同352億円)については、既に205億円分の執行留保を決めている。道路以外の事業費に関しては、人件費などを除く1050億円分を原則留保の対象としており、現時点での対応として今回、4月に執行する予算のうち「県民生活への影響が比較的小さい」(財政課)14億円分の留保を決めたという。

 留保が決まったのは▽養護老人ホーム建設費補助(3億3965万円)▽農村の環境保全団体への補助(3億1069万円)▽県立高校小規模修繕費用6771万円▽仙台フィルハーモニー管弦楽団などへの補助(4815万円)▽木造住宅の耐震診断や建て替えの費用補助(4225万円)--など。財政課は「補助などが完全に無くなるわけではなく、暫定税率が元に戻り次第執行したい」としている。

 だが、執行留保によって影響を受ける側からは、戸惑いの声も上がっている。校舎の補修を予定していた高校の担当職員は「すぐに教育活動に支障が出るわけではないが、切りやすい所から切られたという印象」と批判。年間予算の約5%を県補助で賄う仙台フィルハーモニーは「公演は予定通りに行うつもりだが、今後会場費用の支払いなどで支障が出る可能性はある。早期に解決してほしい」と要望した。

 財政課は「4月中に暫定税率が復活しなければ、執行留保が続くだけでなく、新たに別の事業も留保せざるを得なくなる」としている。村井知事は、中央政界の対応に関し「これ以上の混乱を招かないために、自治体をあずかっている者の意見を聞きながら結論を出してほしい。(与党は税制関連法案について)再可決ありきと考えるのではなく、法案の修正協議を野党と行い、衆参で同意してほしい」と述べた。

 ◇登米市の老人ホーム、建て替え工事の見通し立たず

 建設費補助の執行が留保された養護老人ホームは、登米市が運営する「きたかみ園」(同市登米町)。来年4月の民営化に備え、築30年以上になる施設の建て替えを計画していたが、工事発注の見通しが立たなくなった。運営委託先は「建て替えを待っている入所者は多く、影響は甚大。とばっちりを受けたとしか思えない」と困惑している。

 同園の運営は、介護事業者「宮城登米広域介護サービス」(同市迫町)が認可申請中の社会福祉法人「登米福祉会」(仮称)に委託される予定。施設建て替えには県と市の補助を受けられることになっていたが、県長寿社会政策課は「本来は4月中にも交付する予定だったが、すぐに困るものではないと判断した」としている。

 だが、現在の施設は老朽化が進み「雨漏りはするし、建て付けが悪いのですき間風が入ってとても寒い」(同園)のが現状。部屋数が少ないため、約90人の入居者のほとんどが4人部屋で暮らしている状態で、同サービスの佐藤聡祐総務部長は「建て替えは入所者はもちろん、家族や職員みんなの悲願。これまでの努力がいきなり否定されたようだ」と失望を隠せない。

 同サービスでは社会福祉法人の認可が下り次第、業者に工事を発注し、5月初めには着工する計画だったが、入札を見送らざるを得ない状況だ。佐藤総務部長は「個人的にはガソリンが安くなり喜んでいたが、こんな事態は想像すらできなかった。民営化の時期が迫っており、今後どうなるかは全く考えられない」と話している。

毎日新聞 2008年4月15日 地方版

宮城 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報