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JR宝塚線事故から3年、遺族の4割「心身が悪化」

2008年04月22日

 JR宝塚線(福知山線)脱線事故から25日で3年となるのを前に、朝日新聞は亡くなった乗客106人の遺族を対象にアンケートを実施し、42人から回答を得た。心身面の変化について、4割近い人が事故直後と比べて「悪くなった」と答え、時間の経過が悲しみや苦しみの緩和につながっていない現状をうかがわせた。3年間の支えになった存在として「家族」を挙げた人が7割を超えた。

 事故直後と現在の心身面について、16人(38%)が「悪くなった」、12人(29%)が「変わらない」とし、「良くなりつつある」と答えたのは11人(26%)にとどまった。息子を亡くした女性(59)は「三回忌が過ぎると現実をより実感し、寂しさが募るようになった」と記し、母親を失った女性(30)は「体重が10キロ以上増えたり、減ったりしている」と心身のバランスが不安定な様子を打ち明けた。

 家族間のつながりについては、13人(31%)が「強くなった」としたものの、4人(10%)が「弱くなった」と回答。「家族と連絡をこまめに取るようになった」(弟を亡くした男性)など、家族が3年間の支えとなったと答えた遺族は30人(71%、複数回答)に上った。「ほかの遺族・負傷者」を挙げた人も9人(21%、同)いた。

 今後、心身面の支えとして必要なこと(複数回答)については、家族・友人・周囲の理解(24人)▽仕事・趣味への集中(17人)▽遺族・負傷者間の交流(15人)▽医師やカウンセラーなど専門家による治療など(12人)――という回答が寄せられた。

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が昨年6月に公表した最終報告書に対しては、半数が「不十分」と回答。JR西日本に求めること(複数回答)として、5割を超える人が「十分な再発防止策の実施」を挙げ、7割近くが国に「公共交通機関への指導強化」を要望した。

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