音楽ヒットチャートで知られるオリコン(東京都港区)が、月刊誌に掲載されたジャーナリスト烏賀陽(うがや)弘道さん(45)のコメントで名誉を傷付けられたとして、烏賀陽さんに5000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(綿引穣裁判長)は22日、100万円の支払いを命じた。判決は「編集権は出版社にあるが、コメントがそのまま掲載されることに同意していた場合は、取材に応じた側も例外的に責任を負う」と判断した。
問題となったのは月刊誌「サイゾー」06年4月号の大手芸能プロダクションに関する特集記事。編集部の取材を受けた烏賀陽さんの「『オリコンの数字はある程度操作が可能だ』という話も聞いたことがある」などとチャートの集計手法を疑問視するコメントが掲載された。判決は、この内容が名誉棄損に当たると結論付けた。
一方、出版社ではなく取材対象者を提訴したことに対し、烏賀陽さんが「表現の自由を萎縮(いしゅく)させる」として、オリコンに賠償を求めたが「すべての責任者を提訴する義務はなく、違法とはいえない」として請求を棄却した。
烏賀陽さんは判決後に会見し「この判決だと、取材が成り立たなくなる。前例にならないよう戦う」と述べた。オリコンは「きわめて妥当と考える」とコメントしている。【銭場裕司】
毎日新聞 2008年4月22日 20時12分