うつ病で休職の東芝元社員、解雇は無効…東京地裁判決
過重な労働が原因でうつ病になって休職したのに解雇されたのは不当だとして、東芝の元社員、重光由美さん(41)(埼玉県深谷市)が、東芝に解雇無効などを求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。
鈴木拓児裁判官は「業務以外にうつ病を発症させる要因は認められず、解雇は違法」と述べ、解雇無効と未払い賃金や慰謝料など計約2800万円の支払いを命じた。東芝側は控訴した。
原告代理人によると、業務が原因でうつ病になった社員の解雇を無効とした判決は過去に例がないという。
判決によると、東芝の技術系社員だった重光さんは2000年秋以降、液晶生産に関する新規プロジェクトを担当し、1か月の時間外労働が約90時間に上った。その後、うつ病を発症して01年9月から休業し、04年9月に解雇された。
判決は「原告は複数のトラブルを抱えて業務量が増大し、リーダーとしての負担もあった。切迫したスケジュールなど肉体的・精神的負荷が生じていた」と、過重労働とうつ病の因果関係を認定した上で、「業務上の疾病で療養中に行った解雇は労働基準法に違反する」と述べた。
東芝広報室の話「控訴審で会社の正当性を立証していく」
(2008年4月22日22時20分 読売新聞)