情報が多すぎて疲れるわけじゃない
なんでも評点というサイトがあるわけだ。ずいぶん昔からあって人気サイトとして有名なんだが、ミッキー大槻という人がやっている。
海外のオモシロNEWSを選んで紹介するという主旨のサイトなんだが、単行本はそれを一冊にまとめたモノ。で、
1960年代生まれ。大阪在住。ハイテク、IT、メディカル関連など、お堅い分野のトランスレータ。ふと気がつけばキャリアは20年に迫ろうとしている。普段は制約の中で仕事をしていて、その反動でこのブログを始めたのだが、結局いろんな制約の中で記事を綴る日々。本職は「翻訳家」らしいんだが、最近、ブログをまとめた本も出版している。
なんでも評点 世界のありえな~い100選 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:2008-01-31 |
海外のオモシロNEWSを選んで紹介するという主旨のサイトなんだが、単行本はそれを一冊にまとめたモノ。で、
更新は数日に1回で不定期。なのに毎回ネットの話題をさらい続けて三千数百万ヒット。そんな異色の読物ブログ「なんでも評点」の筆者ミッキー大槻がお届けする感動と笑いと驚愕と戦慄のリアル・ストーリー集。というような感じで、よくTV番組の元ネタにもなっているようだ。まぁ、マスコミだってバラエティ番組だったら一般人とニュースソースはさして変わらないわけで、どっかから探して来なきゃならないわけだ。で、こういうサイトは非常に役に立つわけで、「アンビリバボー」や「ザ!世界仰天ニュース」なんぞでしょっちゅう使われているようだ。もっとも、元ネタがあるものなので、いくら使われても当人には一銭も入らない。で、ボヤキ混じりに書いているんだが、
東西冷戦末期に命がけでアフリカ諸国を飛び回った経験を持つ著者ならではの冷静かつ柔軟な視点から、米国、英国、インド、アフリカなど世界中で起きた珍事件などの実話をシンプルな文体でわかりやすく描写しつつ、読む人の琴線に触れるツボに鋭く針を刺す。そしてまた、翻訳家としてさまざまな専門分野の翻訳に過去20年近く携わってきた著者ならではの広範な知識に支えられた多角的な分析も本書に深みを加えている。
(1) 今まさに引き金を引こうとしている人差し指を一刀両断にし、剣で銃に勝った男
(2) “超人”は実在する ― 現時点で100人の存在を医学的に確認、うち1人は心臓疾患が自然治癒し生後5ヶ月で十字懸垂
(3) 気温が5度を超すと死んでしまう男性、15年間も冷蔵庫暮らし
(4) 頭の中がほとんど空洞化、脳がわずかしか存在しないのに44歳まで普通に暮らしてきた男性
(5) 列車さえも止められるという降龍十八掌を試すために線路に飛び降りた17歳少年
(6) 透明人間になる薬を体中に塗布して自信満々の男、いとも簡単に撃たれて死す
人は選択肢が多いほど疲れることが判明 ― だからネタ探しは重労働。能動的なネットが受動的なテレビに勝てないのもこのため?というエントリです。
われわれは「情報の多さに疲れる」というような表現をすることがある。しかし、人間は情報量が多すぎると本当に疲れてしまうのだろうか? たとえば、テレビを観ている人は、実に大量の視覚情報と聴覚情報にさらされている。だが、テレビを観ているだけで疲労感を覚える人はあまりいないはずだ。ネットがTVに勝てない理由というんだが、そもそもTVというのは垂れ流しのメディアであって、チャンネルを変える以外には選択肢がないわけだ。ところがネットは自分からアクティブに追求して行かないと、情報が得られない。
人は情報がただ多いだけでは疲れない。情報を受動的に享受しているだけなら疲れない。われわれが「情報の多さに疲れる」とこぼすとき、実際には“情報を能動的に取捨選択”することに疲れているのである。“選択肢の多さ”に疲れていると言い換えてもよいだろう。で、実際にミネソタ大学の研究者が実験してみたそうで、色々と物事を選択させると人間というのは消耗するものである、というのが証明されたというわけだ。選択(に至るまでの意思決定)は心の中の貴重な資源を消耗させるというのが結論なんだが、それが、自分のやってるネタ探しがそのまま同じではないか、と、この人は書いてるわけだ。時には、ネタを探すだけで疲れてしまって原稿が書けない事もあるとかで、実は、おいらもまったく同じで納得してしまったんだが、たとえばひとつ前のエントリ、時代は吉幾三を例にとって見ると、アレなんぞは簡単な方なんだが、まず、2ちゃんころでPerfumeと吉幾三のコラボPVを素人が自作してアップするのが流行っている、という記事を見つけて、Youtubeとニコニコ動画へ行って、Perfumeとか吉幾三とかで検索してネタを集めるわけだ。そこまでは、選択もへったくれもない、機械的な作業なので疲れないんだが、ネタが集まったところで全部見て、「面白い」「面白くない」の選別をする。それを「どう並べるか」でアタマを悩ませ、同時進行でこのグループや音楽用語についての基礎知識を慌てて身につけ、うろ覚えの知識を確認するわけだ。原稿なんざ何十年も書いているので疲れないが、確かにネタを並べて悩む事は多いね。つうか、たいてい集めたネタの全部は使わない。垂れ流しのように見えても、結構、取捨選択しているわけだ。
で、なんでも評点さんに限らないが、ブロガーが出す単行本というのは、そうした「疲れる作業」のエキスを、更にまた取捨選択するという「疲れる作業」の末に成り立ったモノなので、ムダにカネは取らないよ、という事です。
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